漫画から3Dの選手を作る難しさとは?

― 『BFB』の場合、サッカー漫画などともよくタイアップを行っていますが、2Dを3Dにする難しさはありますか?

Satoshi:ものすごくあります……(笑)。キャラクターの髪型など2Dでは“ごまかし”が効く部分も3Dではしっかりと作る必要があります。

Shuhei:漫画の場合、困るのは色ですね。コミックだとやはり白黒なので、表紙などの限られた情報が重要になります。

Iyad:タイアップが決まったときはまず漫画の単行本を全巻購入して、「このキャラクターはこれだ!」というシーンにすべて受験生のように付箋を貼っていきます(笑)。そこから実際にモデルとして起こす顔を決めるのですが、長期間連載している漫画だと初期と最後の方では絵柄が異なることも多いのでそこで迷ったりします。漫画だと常に目が隠れているキャラクターもいて、目が出ている場面を一生懸命探しました(笑)。

Shuhei:正面と横で目や鼻の位置が違う場合、どちらに合わせるのかといったこともありますね。全アングルの資料があれば嬉しいのですがやはりそれはなかなか難しいので、とにかく原作から情報を拾い一つ一つ解決していくという感じです。

― 選手の作成を含めデザインに携わる上で、大切にしているコンセプトはありますか?

Satoshi:「似ているかどうか」に尽きますね。ターゲットを“サッカー好き”に絞っているので、そういった方が見てただ「似ている」というだけでなく、テンションが上がるかが大事だと思っています。その辺りは、“サッカー好き”が揃っている社内でまずは確認し、仮に「何か違う」と言われればそこから地獄が待っています(笑)。

― 最近では、セバスティアン・ベロンの出来に個人的にすごく感動しました!

Shuhei:ありがとうございます。ベロンは、苦戦した方ですね。あのワイルドさがなかなか出なくて……。本物をよく見ると結構目がキラキラしたりしていて、そのまま作るとどうしても「いいベロン」になってしまうんです(笑)。ベロンらしいワイルドな雰囲気を出すのに苦労しました。

Iyad:写真に似せることを意識して作成すると、表情がプレー中よりも穏やかに、時にはマネキンのようになってしまうため、そこはうまく調整しています。ゲームでは一つの表情で様々なプレーが表現されるので、しっかり“かっこいい表情”を作らないと違和感が出てしまうんです。

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