スタジアムには「ドスッ」という、マイクがピッチに落ちる音が響いている。おそらくワンバックはマイクのスイッチがオンになったまま投げ落としたのだろう。

「引退」と「マイク」といえば、1970年代に一世を風靡した女性アイドル山口百恵さんだろう。

山口さんは1980年10月に日本武道館で行われたファイナルコンサートにて、歌を終えるとマイクをステージの中央に置いたまま舞台から去った。そのシーンは日本歌謡シーンの名場面となっており、ワンバックは山口さんのスタイルで現役生活に別れを告げたのだ(ワンバックの方がやや乱暴ではあったが…)。

ちなみにこのワンバック、「みんなのことをとても愛しているわ」の後に"Bourbon Street, Watch out!(ボン・ストリートに気を付けて!)"と言い、マイクを投げている。

結局この言葉が最後のメッセージになったわけだが、現地ではこの部分も「ワンバックらしい」と受け止められているようだ。

バーボン・ストリートはニュー・オーリンズにある大通りの名であるが、この試合が行われたのも同じニュー・オーリンズであり、この後ワンバックが出向く予定であったことからこのようなことを口にしたのかもしれない(その理由については現在調査中…)。

ワンバックといえば歯に衣着せぬ発言で時折メディアを騒がせるが、最後の最後まで自分らしい形で現役生活を貫いたようだ。

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