これらのGK練習全てにおいて意識されているのは、視界を遮ったり軌道を変化させたり、という点で実際の試合で起こるような状況が作られていることだ。
全ての練習に連続性があり、単純なシュートを止めるだけの練習はない。また、強いパンチングを意識してボールを処理しているのも印象的だ。こういった練習で培われた能力が、試合という場で発揮されるのだ。
最後にケイロル・ナバスの幾つかの好プレーを紹介しながら、当コラムを締めくくることにしたい。
練習によって磨かれた体勢を立て直す力が発揮されたのが、次の場面だ(動画1:45秒~)。
逆サイドにパスされ、体勢を崩しながらも驚異的なスピードで復帰。ボールを外に運びながらシュートコースを作ろうとしたアタッカーのボールを奪い取っている。
次は、動画2:04秒~の場面。
パンチングの強さも彼の特徴で、ミドルシュートを遠距離まで弾き返すことによって、こぼれ球をスムーズに二次攻撃へ繋げられることを避けている。
これも、練習において常に強いパンチングを意識していることによって可能になるものだろう。また、こぼれ球を意識した練習が多いことから、近くにボールを落としてしまう危険性を理解しているのかもしれない。
ケイロル・ナバスはある意味で、身長という遺伝的な才能を鍛錬によって超えた守護神だ。日本が彼のように世界に通じるGKを育て上げる時こそ、日本代表が世界の頂点に近づく時なのかもしれない。