ジョエル・アンドレ・マティプ・ジョブは、1991年8月8日生まれの24歳。カメルーン国籍の父親とドイツ国籍の母親のもとに生まれ、ドイツのボーフムで育った。
兄のマルヴィンはU-21ドイツ代表経験を持つプロサッカー選手で、現在はインゴルシュタットに所属。また、カメルーン代表としてコンフェデレーションズカップに出場し、ミドルズブラなどで活躍したFWジョセフ=デシレ・ジョブは従兄弟にあたる。
そんなサッカー一家に生まれたマティプはボーフムのユースチームに引き抜かれ、2000年の夏にはシャルケのアカデミーに加入を果たした。
この時、マティプは弱冠8歳。その後ユースで育ち、シャルケのセカンドチームであるシャルケⅡを経て、2009年にプロデビューを飾る。つまり、マティプはシャルケに15年以上も在籍したアカデミー出身者なのだ。
今回の移籍について、マティプは公式サイトで以下のように話している。
ジョエル・マティプ(シャルケ)
「シャルケを離れる時が来たらその理由はたった一つだと、僕は前から言っていた。
その理由とは、全く新しい経験をするため。
だからこれまで、ブンデスリーガ内での移籍を考えたことなどなかった。
今回の決断はとても難しいものだった。それでも、この一歩を踏み出すのに相応しい時が来たのだと確信している」
『transfermarkt』でのマティプの市場価値は1350万ポンド(22億1900万円)である。
シャルケにとってこれだけの選手をフリートランスファーで放出するのは手痛いが、おそらくは契約延長交渉が上手く進まなかったのだろう。
ちなみに、シャルケのトップチームでの在籍年数は今季で7シーズン目。これは現在のチームではベネディクト・ヘーヴェデスに次ぐ長さであり、二番目の古株選手ということになる。この次に長く在籍しているのが内田篤人だ(2010年から今季で6シーズン目)。
ドイツ出身のマティプだが、代表チームではカメルーンを選択している。
2010年のアフリカネイションズカップに向けた代表メンバーに招集された際には、「ドイツ代表入りを目指したい」という理由で辞退したマティプ。しかし、結局はワールドカップに出場するという夢を優先させ、同年3月の国際親善試合でカメルーン代表入り。
そして、この夏に行われた南アフリカ大会にも出場。日本代表との初戦でも弱冠18歳ながら先発出場を飾っている。その後も代表チームに選ばれ続け、2014年大会にも参加した。