エル・カビルが鳥栖へ加入した理由の一つは、フィッカデンティ監督だ。ミェルビーに在籍していた2011-12シーズン、エル・カビルはイタリアのカリアリへ1年間ローンされており、当時の指揮官がフィッカデンティ氏だった。
このときのカリアリはシーズン中に監督を一度解任しながら(※開幕直前にもロベルト・ドナドーニ監督を解任)、4か月後に再任して最終的にセリエA残留を勝ち取った。その中でエル・カビルは負傷もあり7試合出場1ゴールという成績にとどまったが、今回の移籍から激動の一年を過ごした指揮官との関係は良好であることがうかがえる。
その後、ヘッケン(スウェーデン)、アル・アハリ(サウジアラビア)、ゲンチレルビルリー(トルコ)を経て鳥栖へ加入したエル・カビル。国際経験が豊富であることも彼の特長の一つだ。
プレースタイルとしては、前線で動き回りながらボールを受け相手に仕掛けていくアタッカー。公表された「174cm/84kg」という数値はなかなかのインパクトだが、元々これぐらいの体重で多少“重め残り”でも持ち味を発揮することはできるタイプだ。
イメージとしては「サイドからの仕掛けが得意な豆タンク型のFW」という感じである。
これは先日まで1年半所属していたゲンチレルビルリー時代のプレー動画。昨季はトルコ1部で28試合に出場、8ゴールを記録している(チームは10位)。
基本的に動画から受ける印象通りの選手であり、すんなりチームに馴染むようであれば他のJ1チームにとって厄介な存在となりえるだろう。ただ、NEC時代に規律違反でクラブを解雇されるなど、メンタル面にはやや難がある。
最後に豆知識として、エル・カビルは7人兄弟。弟の一人であるオスマンもプロサッカー選手で、現在はスウェーデン1部のユールゴーデンでプレーしている。