守備:持ち前の堅守に陰りが…
仙台の代名詞となっているのが堅守だ。
手倉森時代の4-4-2は前線からのプレッシングが抜群に機能しており、対戦相手を大いに苦しめた。コンパクトな陣形を保ち、相手にプレッシャーを与えることで、ミスを誘発しカウンターにつなげる。良い守備が良い攻撃を生むのはサッカーにおける基本原則だが、当時の仙台はそれを体現できていたのである。
今季の仙台は、8試合で18失点を喫しているが、この数字はリーグワーストだ。なぜ堅守が崩壊してしまったのか。「ボールの奪いどころが中途半端になっている」のが原因である。
3バックを用いるチームの大半は、守備時に5バックとなる。仙台も同様で、5-4-1のコンパクトな3ラインが並ぶ。しかし、そもそも5-4-1では前線からプレスをかけるのは難しい。後方に人数が多くなる分、全体の重心が後ろにならざるを得ないからだ。
前述の広島と浦和も守備時は5-4-1となるが、彼らの守備の基本形はリトリートである。相手ボールになった際はブロックを作り、相手の攻撃を受け止める。近年の両チームは、前線からのプレッシングを新たに掲げているが、あくまでも相手陣内でボールを失った時の話である。
5-4-1という構造上、無理に前から奪いに行けば、ブロックに穴が生じ、スペースを与えてしまう。
前線からプレッシングをかけるのであれば、4-4-2の方が理にかなっている。アトレティコ・マドリーやレスターが4-4-2を採用しているのはそうした理由からである。