クラブ史上最多タイとなるベレーザの4連覇か? 世代交代に成功したタレント軍団=INACの奪還か?

そんな明るい話題で開幕を迎えることとなった今季のなでしこリーグ。

現在は日テレ・ベレーザがリーグを3連覇中で、昨季は皇后杯との2冠も達成。タイトル独占状況が続いており、なでしこジャパン(日本代表)にも毎回7人ほどが招集され続けている。

今季のベレーザはリーグ3連覇を導いた森栄次監督が退任し、永田雅人新監督が就任。男子の東京ヴェルディ1969やジェフユナイテッド市原・千葉の下部組織で監督やコーチを務めた指導者が、絶対女王を新たな次元へ導く。

ただ、監督交代こそあったものの、主力選手の顔ぶれは変わらず。直近にポルトガルで行われたアルガルベカップの代表メンバーにもGK山下杏也加、DF清水梨沙・有吉佐織、MF阪口夢穂・長谷川唯・隅田凛、FW田中美南と大量7人を送り出している。

また、昨年はU19日本代表でアジアを制したFW植木理子を始め、年代別の代表で台頭している若手も多い。それを元日本代表DF岩清水梓が最後尾から支える全員守備・全員攻撃は健在だ。

そんな「死角なし」の絶対女王に対する、「刺客」はどうか?

1番手の刺客=INAC神戸は、元日本代表FW大野忍(現・ノジマステラ神奈川相模原)が退団。2011年からのリーグ3連覇、2013年の『国際女子サッカークラブ選手権』も加えた国内外4冠の完全制覇、さらになでしこジャパンでドイツW杯優勝に大きく貢献した“黄金メンバー”がまた1人抜けた。

ただ、その裏には昨季高卒1年目でリーグ新人賞を受賞した19歳のMF福田ゆい、その前年度に同賞を獲得したMF杉田妃和(福田の藤枝順心高等学校時代の2学年先輩にあたる)らの台頭がある。

特に杉田妃和は、2014年のU17W杯と2016年のU20W杯の両大会でMVPに選出された“世代最高選手”。ただ、昨季は後輩の福田にボランチのポジションを奪われ、2列目の両サイドやベンチスタートを命じられる試合もあった。

ヘッドコーチから昇格した鈴木俊新監督の下で、奮起する“先輩”と日進月歩に成長する“後輩”による中盤でのゲームメイクに注目が集まる。

また、代表に定着してきた22歳のDF三宅史織、昨季は主にセンターバックを務めた21歳のDF守屋都弥、昨季日体大FIELDS横浜の2部優勝に大きく貢献した新加入のDF羽座妃粋(彼女も22歳だ)もいる。FW高瀬愛実が急造で担っていた右サイドバックにも、高卒新人ながらU19日本代表の主力となっている牛島理子が加入。守備陣にも実力派の若手が揃っているのだ。

GKにも昨季の1番手である武仲麗依と日本代表経験豊富なベテランの福元美穂、U19日本代表で“美人過ぎる”と話題になったスタンボー華による、3人の熾烈で“高過ぎる”ポジション争いがあるように、現在のチームには世代交代を経たうえでの競争がある。

そして、昨季夏に加入し、終盤戦に実戦復帰した日本代表FW岩渕真奈。25歳となった彼女が年間通して怪我なくシーズンを過ごし、コンスタントにプレーできた時、INAC神戸の2013年以来のリーグ奪還は現実味を増すだろう。