初昇格の“若手精鋭集団”C大阪堺に注目!

昨季クラブ創設6年目で初の1部を戦ったノジマステラ神奈川相模原は、リーグでは残留争いを余儀なくされるも、年末の皇后杯では決勝進出を果たす。

昨季限りで創設時のメンバーが多く抜けることになったが、新たに元日本代表FW大野(INAC神戸から獲得)らビッグネームも加入。創設7年目となる今季は、毎年チーム力を積み上げてきたノジマにとって新たなステージとなりそうだ。

なでしこジャパンの新エースとなったFW横山久美(現1.FFCフランクフルト/ドイツ)が昨季途中に武者修行へと旅経った長野パルセイロレディースは、彼女の移籍後に急失速。2016年シーズンにクラブ史上初の1部昇格ながら3位へと大躍進した姿は見えなかった。

しかし、岡山湯郷Belleでも8年間の長期政権を築いて魅力的なチームを作ってきた本田美登里監督は、長野でも6年目を迎えており経験は豊かだ。

昨季は試行錯誤の連続だったが、横山在籍時に武器としていた「縦への推進力」は、すでに他チームに研究され尽くされていた。今季は、走力に展開力を兼ね備えるMF國澤志乃、昨季途中に加入した技巧派アタッカーの中野真奈美らが、効果的に“横”を使いながら安定感をも見せるチームに仕上がりそうだ。

そして注目を集めるのが、今季初めて1部を戦うセレッソ大阪堺レディース。

最年長が20歳というアカデミーチームの形態をとっているため他チームからの選手加入はないが、昨季の2部で18試合22得点をあげたU19日本代表FW宝田沙織を筆頭に、下部年代の代表で主力を担う選手が勢揃いしている。

キャプテンを務めるMF林穂之香は昨年のU19日本代表で、昨季のなでしこ1部新人賞のMF福田ゆいからポジションを奪ったボランチ。そのボール奪取能力は、もはや「攻撃力」と形容しても良いほどで、自ら奪ったボールから決定機を作り、得意のミドルシュートで多くの得点にも絡む大黒柱だ。

また、男子チーム同様に「セレッソのエースナンバー」“8”を背負うMF松原志歩は、得意とする左サイドからのドリブル突破やワンツーを駆使しながら攻撃を牽引。両足から繰り出す強烈なミドルシュートやセットプレーで、2部リーグでは宝田以上に「無双」していた。超若手偏重チームが1部の舞台でどれだけやれるのか?ニュートラルな目線でも楽しいチームになるだろう。

昨季2部優勝で自動昇格を勝ち取った日体大FIELDS横浜は、“昇格請負人”のMF伊藤香菜子とFW荒川恵理子が共に2部へ降格したちふれASエルフェン埼玉へ移籍。さらに、守備の要であったDF羽座妃粋も大学卒業を機にINAC神戸へ。

また、指導者ライセンスの関係で矢野晴之介監督が退任し、小嶺栄二新監督を迎えている。Lリーグ時代以来の19年ぶりのトップリーグは非常に厳しいシーズンとなる可能性が高い。

そして、昨年は序盤戦に低迷して降格圏内を彷徨ったが、後半戦になって連勝街道を歩んだアルビレックス新潟レディース。5位でシーズンを終えた彼女たちも、新たに山崎真監督を迎えている。

元日本代表MF上尾野辺めぐみ&FW大石沙弥香の黄金コンビはまだまだ健在だが、共に30歳を越えている。大怪我を乗り越えたMF八坂芽依や、ドイツでのプレー経験も持つ新加入MF入江未希など、若手が軸となるチームに脱皮できるか?という点が問われそうだ。

今季のなでしこリーグ1部は全10チームの半数に当たる5チームが新監督を迎えている。4月には来年フランスで開催される女子W杯の出場権も懸かるアジアカップがある。代表強化のためにも、選手が日々プレーする国内リーグの充実は欠かせない。