「プレッシング不全」という脆弱性

さて、今回は1失点目を取り上げて言及したが、その理由は至って簡単。

この失点シーンが、今回のテーマであるバルセロナ守備陣の「脆弱性」の一つでるあるからだ。

まず、最初の画像でデ・ロッシに全くプレッシングがかかっていない状態になっていたことを示したが、これはバルセロナがピンチを迎える序章でよく見られるシーンである

エルネスト・バルベルデが監督となり、カウンターアタックの鋭さが増した印象だが、これは「プレッシングがハマり、パスコースを限定できている時」に限定しての話だ。

逆に言えば、プレッシングがかからない状態では、このように簡単に背後やスペースを突かれてピンチを迎えるというのが、今季のバルセロナの特徴である。

また、この失点シーンでは、デ・ロッシがボールを持った瞬間、中盤の誰かが自らのポジションを捨てて、ボールに対して寄せるという考えもあった。

しかしこれが実行できなかったのは、一つの理由として、「各選手との距離を10メートル以内にキープする」という基本的な約束事がチームにあったためだと思う。

このルールにより、今季のバルセロナはこれまでよりもソリッドな守備を見せることも多く、レアル・マドリーに3-0で勝利した昨年末のエル・クラシコでも非常にそれが効いていた。

だが、この効果を得るためには、前線からの効果的なプレッシングは重要だ。

逆に言えば、この機能が弱まると、守備ブロックは「ただ待ち構えているだけ」の状態となり、徐々にDFラインとの間隔も広がる。

そして、最終的には、相手チームに攻めやすい環境を与えることになるわけだ。