②中途半端なマークの受け渡し

前述のようにデ・ロッシがパスを送る時点で既に問題が発生していたわけだが、蹴りだした後に上手く対応できれば問題はない。

トップレベルの試合においても、中盤にポッカリとスペースが空くことは多々あり、ポジショニングのミスも当然ある。しかし、それでもなかなかゲームが崩れないのは、それらを失点に繋げないように誰かがカバーしているからだ。

つまり、ここで求められるのが、「その後の対応」にあったのだが、この失点ではそれが全くできていなかった。

デ・ロッシが背後にボールを蹴りだした瞬間、バルセロナの左SBジョルディ・アルバはジェコと並走しながら中に絞るのだが、まず、この時点でジェコにインコースを取られていることがわかるだろう。

そして、このタイミングでまた別の問題が起こった。それはCBサミュエル・ウンティティのカバーリングである。

アルバがジェコに対して(インコースを取られて)後手を踏んだ瞬間、若きフランス代表DFはマークの受け渡しを自ら率先すれば良かったのだが、彼が取った行動は「とりあえず、並走しておく」というものであった。

ジェコにボールが収まる前など、決定機を迎える前に受け渡しができるタイミングはあったのだが、最終的にどちらが最後までジェコを見るのかわからない状態となり、ローマのエースのDFラインの侵入を許されてしまったのである。

また、ボールのないところでの話ではあるが、バルセロナの中盤四人はただ中に絞った(ように見えるだけ)ポジションを取っており、両サイドのパスコースに対して「ケアなし」の状態であったことも触れておかなくてはならないポイントだ。

ボールがそこに送られることはなかったが、デ・ロッシが右サイドや左サイドに展開してもピンチを迎えていた可能性は十分にあったと言える。