「現場の意見を尊重」したことが、采配を的中させた!
両チーム選手交代なしでスタートした後半。ハリマ側は完全にカウンター戦略に出ていた。
それは、「今日のグラウンド状態はパスを回せそうか?」という田渕径二監督からの問いかけに対して、「回せない」と返答した選手達の意見を汲み取った結果だった。
そして、後半開始早々の47分、中盤でボールを奪ってハーフカウンターを発動。千葉から前線右サイドのスペースに流れたFW新堀華波に好パスが配給される。
新堀はバニーズDF陣を引き連れ、逆サイドから中央へ走り込んだ葛馬へラストパス。GKと1対1になった葛馬が冷静に流し込んでハリマが先制に成功する。
このアシストを含め、高卒新人ながらカップ戦を経てレギュラーに定着しつつある新堀の存在感は大きかった。
その後、先制されたホームのバニーズは55分という早い時間帯に吉田、西川という従来の主力FWを2枚同時に投入。この交代策により形成を逆転したバニーズだったが、ニアサイドでクロスに合わせたMF松田のシュートがわずかに枠に嫌われるなど得点ならず。
守勢に回ったハリマも、バニーズの出方に対応。ブロックの構築を最優先しつつ、この日は中盤で守備の仕事が多かった千葉を前線に繰り上げ、そのキープ力と得点力に期待したシンプルな戦略にシフト。そして、これが即座に奏功する。
68分、左サイドのスペースに出されたロングボールに反応したハリマのFW内田が粘ってファーサイドへクロス。これを前線に繰り上がった千葉がヘッドで押し込んでハリマが貴重な追加点を奪う。バニーズは相手の布陣変更に対応しきれず、得点者の千葉に対して寄せきれていなかった。
その後、前掛かりになるバニーズに対して、千葉を中心にカウンターからフィニッシュに持ち込むハリマ。
「今日はリアリストになって勝ちを最優先した」という田渕監督の采配が的中した試合は、0-2という結果でハリマが快勝した。今季3勝目を挙げて6位に浮上し、1部9位チームとの入替戦となる2位・愛媛FCレディースとは勝点は5差。何とか昇格争いに食い込んでいける位置に入った。