「衰退」ではなく「停滞」しているパスサッカー

しかし、グアルディオラが退任したバルセロナはライバルチームによる対策が進み、主力選手の高齢化も重なって停滞。

ルイス・エンリケ監督の下で2014-2015年シーズンに再び3冠に輝いたものの、そのサッカーはアルゼンチン代表のリオネル・メッシ、ブラジル代表のネイマール、ウルグアイ代表のルイス・スアレスという南米3トップの個人技を活かした戦い方にシフトしていた。

そして、“メッシ抜きのバルセロナ”とも言えるスペイン代表は、2014年のブラジルW杯で屈辱のグループステージ敗退。2016年のEUROや直近のロシアW杯でもベスト16止まり。

バルセロナにそのサッカーを移植した故ヨハン・クライフのオランダ代表、そしてアヤックスを始めとしたオランダサッカーの低迷はさらに深刻だ。

そんな「パスサッカーの限界」が顕著となっているのが現在である。

もちろん、それは単にスペイン流のパスサッカーが衰退したわけではなく、その攻撃サッカーが守備戦術の発展を促し、現状はその徹底された守備戦術が勝る時代に入っているだけの話だ。

今後、2008年以降のスペイン代表とバルセロナのように、現在の緻密な守備戦術を凌駕する攻撃サッカーを展開するようなチームが現れ、歴史は再び転換点を迎えるだろう。