学校教育とセット
続いてミッションを見ていこう。
「私たちはよく教育されたスポーツチャンピオンを育成します。私たちは、健康で活発なライフスタイルを実現するカタール社会を育成します」
というものだ。この言葉にすべてが集約されている。
アカデミーに実際に入学するためにはどうしたらいいだろうか?実は、戦いは6歳から始まっている。
「フットボールスキル開発センター(FSDC)」というものがドーハにあり、6歳から11歳までの入学候補生はそこでプレー、さらに有望な選手は8歳の時に「アスパイア・フィーダー・グループ」というグループに選ばれる。
こうして選ばれたアカデミー生は12歳で入学し高校卒業までをアカデミーで過ごす。
アスパイア・アカデミーではスポーツが上手くなるためだけでなく学校教育を行っている。こうした学校教育は南米や欧州のビッグクラブ傘下でも行われている“常識”ではあるがカタールでもそれは行われている。
将来の海外でのプレーに備えて外国語、とりわけスペイン語や英語の学習が義務づけられている。
また、「健康で活発」というワードの通りアカデミーのスポーツ科学メンバーはこれまで国際会議で100本以上の発表を行っており、アカデミー生は料理なども勉強させられるという。
そのほかスポーツ心理学、栄養学…全ての分野でサポートする体制が整っている。アスリートとして体制するには環境適応能力、メンタル、頭脳といった部分も必要なのだ。
設備として図書館、劇場、化学実験室、寮などもあるというのだから、日本人から見たらさながら大きな学校のようだと思うかもしれない。
例えば、室内サッカー場は5800人の観客を入れることができ、FIFAからも承認されている。先月もPSV、クラブ・ブルッヘ、バイエルン・ミュンヘンなどがアスパイアでトレーニングを行った。
スタッフは25カ国以上から集められたメンバーにより成り立っている。
ことサッカーに関しては、元ビルバオのエドルタ・ムルアTD(テクニカルディレクター)を筆頭にスペイン人スタッフが揃い、またチャビが関わっていることなどからスペイン色が濃いという意見もある。
チャビは今回のアジアカップでも「カタールが優勝する」と予測しているが、過去にも「カタールに来てこの国をもっと見て欲しい」と発言するなどカタールの素晴らしさを度々発言している。