卒業生の面倒も見る
先に述べたように、中東サッカーではトップチーム昇格後の出番のなさもまた問題であった。
しかし、アスパイア・アカデミーの場合心配はない。カタールのクラブに進む以外にもまた、ベルギーのオイペン、スペインのクルトゥラル・イ・デポルティーバを買収し卒業生を送り込む体制が整っている。
これにより卒業後の育成、ステップアップについても管理下におくことができる。
実際にオイペンの選手表を見てみると、アフリカ系の選手の多くがアスパイア・アカデミー卒業生であることがわかる。
そう、カタールの選手たちだけでなくアフリカの選手たちも今やカタールから育成されているのだ。将来、彼らの中にはカタール代表になる者もいるかもしれない。
また、「パートタイマー」をアスパイア・アカデミーでは受け入れている。
これは、例えばアル・サードの下部組織に属している選手が所属を変えないままアスパイア・アカデミーでも練習を受けられるというものだ。これにより育成はさらに波及する。彼らは自クラブへ帰った後にその学んだことを広めようとするからだ。
Jリーグの下部組織との対戦もしばしば行われている。昨年秋にはヴァンフォーレ甲府がアスパイア遠征を行った。過去に遠征した柏レイソルのアカデミースタッフのブログにはこう書かれていた。
「今までに見たことのない最新鋭のテクノロジーが備わったトレーニングが実現していました。」
「最新のテクノロジーに囲まれた中で育つMade in Aspireがこれからは世界に巣立っていくわけです。果たしてどんな選手が育っていくのか、楽しみは増していきます。」
これだけの施設が整った国やクラブが世界中にどれほどあるだろうか。そう考えれば、彼らが今回のアジアカップで決勝に進出してきたことも頷けるものであろう。
カタールはこの先、日本のライバルとして立ちはだかるに違いない。