――それぞれ再開に向けて問題となっていることや、共通の課題があれば教えてください。

共通の課題は、やはり選手・スタッフの衛生や安全面が第一に来ます。続いては、試合数が減るので、それに伴い選手の年俸をどのように減らすのか、という交渉がリーグと選手協会間で激しく続けられております。

また一ヶ所集中開催に際してはその期間中、家族とも断絶な状態となるので、果たして現実的なのかどうかの問題もあります。MLSは短い期間ですが、MLBなど長期間に渡ってそれを実施することはなかなか難しいものがあります。

そして当然ながらスポンサーや、放映権の問題もあります。

スポーツビジネスは“変化”とともにある

――なるほど。新型コロナウイルスによって、一大ビジネスであるアメリカのスポーツ産業にはどんな変化が生まれそうでしょうか?

これはまだ正直わからないです。

ざっくりと言うと今までは人を集めてナンボの集客重視であったのが(=密を作る)、人を集めてはいけないモデル(=密を作らない)に一気に移行したので、3ヶ月程度で答えは出ないと思います。

ただスポーツビジネスの4大収益源であるチケット、スポンサー、放映権、スタジアムのうち、チケットとスタジアムを一気に失いましたので、ショックは大きいです。

コロナ問題が勃発した直後からここまではいかにファンとのエンゲージメントを高めることが重要かと考え、皆がこぞってあらゆるアイディアや企画をSNSを中心に創出してきました。

しかし収益源になっているものはほぼ皆無ですし、ネタが尽きてきた感もあり、やはりスポーツをまた見たい!という気持ちは皆高まってきています。

また、コロナの後は色々と変化することは必須で、例えば9・11のテロの後、空港やスタジアムへの入場のセキュリティが一気に強化されたことで、早めに行かないといけなくなりましたし、持ち込めるアイテムも制限ができたり、入場時のセキュリティに時間がかかるような不便が発生しています。

それと同様に、コロナ後も色々な不便は生じると思います。

現時点で既に聞こえてくるものとしては、今後搭乗に際しては、飛行機の搭乗時間の4時間前には空港に行き、現存のセキュリティチェックに加えて衛生面でのチェックも増えるのではないかと言われています。