スーパーゴールとゴールパフォーマンスの“裏側”

――そこからチームとして快進撃が始まり、エヴェラウド選手も次々とゴールを決めていきました。その中で生まれた、広島戦の素晴らしいゴール。あのシーンを振り返っていただけますか。

あの試合は最初センターフォワードで出場していて、選手の交代があり監督からの指示で左のサイドハーフに移りました。左サイドのポジションも好きですし、プレーの経験は十分にあったので何の支障もなかったです。

開幕から積み重ねてきた「お互いを知る」というところで、三竿健斗選手がロングフィードの得意なプレーヤーだと私は分かっていましたし、彼も私の動きを見てくれていました。

ボールを奪取し、三竿選手が前線にフィード。私は最初、残っていた相手ディフェンダーがインターセプトを狙うだろうと見ていたのですが、ボールを待っていたのでそれならば前に入ろうと思いました。

もし寄せてきたらヘディングでそらしてスペースに走り込もうと思っていましたが、やはり相手選手は待っていたので、高く跳んで胸でボールをトラップ。スピードに乗っておりボールをコントロールすることが難しかったためヘディングでもう一つタッチを入れました。

ゴールキーパーが出てくるのは見えていたのですが、あのスピードでループシュートを狙ったらミスをするだろうなと感じたので、あのような形でのシュートの選択しかありませんでした。

非常に良い形で決めることができましたし、一番重要であるチームの勝利に貢献できたことが私にとって一番嬉しかったです。

――本当に素晴らしいゴールでした。そして、ゴールを決めたあとのパフォーマンスです。試合後のインタビューでも少し話されていましたが、エピソードを教えてください。

現在のような状況で毎日家にいると、息子が“アドバイザー”になってくれるんです。「こういう時はこのようにドリブルやパスをしろ」とか、「ゴールをした時はこういうゴールパフォーマンスをしろ」と、彼から様々な要求を受けます。

一番厳しい指導者です(笑)。今回のパフォーマンスは彼がクリスティアーノ・ロナウドのファンだったことに由来するものでした。

正直私は「ゴールを決めたらこんなパフォーマンスをしよう」と試合中に考えたことは一度もなくて、今回も得点したあとに自然体で出た面が強いです。サッカーにおいて、ゴールシーンはサポーターを含め攻めていたチームが最高潮に達する瞬間です。その中で、今回もゴールを決めた時に自然と体が動いて出たのがあのパフォーマンスでした。

試合後のインタビューが終わったあと、ピッチを一周したところで、スタンドにいた息子が同じパフォーマンスをしてくれました。私と彼の小さな約束が果たされた瞬間でした。