――時は2021年6月16日。
関西サッカーリーグ1部を戦うおこしやす京都ACは、広島ビッグアーチに足を踏み入れた。迎えた天皇杯2回戦で、J1に所属するサンフレッチェ広島と戦うためだ。
カテゴリが5つも違う相手だ。もちろんおこしやす京都ACは攻め込まれる立ち上がりとなったが、その雰囲気は前半28分に一変した。
ゴールキーパーからのロングボール。そのこぼれ球を拾って攻め込むおこしやす京都AC。細かいパス交換から裏へ飛び出したストライカーが、ペナルティエリア右から鋭いシュートを叩き込んだ。
その選手の名は、青戸翔(あおと かける)。
彼のゴールで勢いづいたおこしやす京都ACは、5-1という驚愕のスコアでサンフレッチェ広島を「ジャイアントキリング」。
そして、青戸はこれがマグレではないことを証明する。シーズンが終わってみれば、リーグだけで14試合13ゴール、天皇杯では予選を含めて6試合9ゴール、全社予選で1ゴール。公式戦23ゴールという驚愕の数字を記録した。
青戸がおこしやす京都ACにやってきたのは今年初め。東京23FCからの加入だった。当初は控えながらもゴールという結果でスタメンを奪取し、いつしかエースストライカーとして絶対的な存在になった。
だが、彼は25歳になる今年まであまり知られていなかった。学生サッカーのスターだったわけでもなく、ドイツ下部リーグの無名クラブでプレーしていたこともある。
これまでどのようなキャリアを歩んでおこしやす京都ACにたどり着き、得点王という結果を勝ち取ったのだろうか。(取材日:2021年10月12日)
――まず、今季加入されたおこしやす京都との出会いはなんだったんですか?
合同セレクションです。多くのチームが声をかけてくれた中で2つに絞りました。そこで、よりサッカーに打ち込める環境を作ってくれたのがおこしやす京都ACでした。
――今季これだけの成績を残せると思っていましたか?
予感は…ありました!
――(笑)さすがストライカーですね!