今回のユニのエンブレムには、中央に白いダイヤモンド型のグラフィックを重ねたものが使われている。
これは1971年にカンプノウで初めて試合を行った女子サポーターズクラブ(女子チーム)にインスピレーションを得たものだが、このダイヤ型の意味を理解するには、その背景にある女子チームの歴史を知る必要がある。
1970年、インマ・カベセランという18歳の女性バルサファンが女子サッカーチームの創設を当時の会長に提案。それを受けてメンバーを集ったところ多くの希望者が集まり、非公式ながら女子チームが編成される。
そして同年12月に無観客のカンプノウで初の女子チームによる試合が行われたが、この非公式チームは“バルセロナ市選抜”などと呼ばれたという。
このチームを切っ掛けとして1971年に誕生したのが、現在の女子チームの前身となる女子サポーターズクラブだった。だが、この時点ではバルセロナの正式なチームではなかったこともあり、ユニの胸には別のエンブレムを付けていた。
そのエンブレムこそが、今回のようにダイヤモンド型をデザインしたものだったのだ。
画像を掲載できないため文字で説明するしかないのだが、バルサのエンブレムの中央に大きなダイヤ型のラインを描いたものを想像していただきたい。
1988年に女子サポーターズクラブはチームに格上げされ、ついにFCバルセロナのチーム(FCバルセロナ・フェメニ)として正式に認められる。
その後の女子チームは躍進の一途をたどり、国内リーグでは2度の4連覇を達成。20-21、22-23シーズンで2度のUEFA女子チャンピオンズリーグ優勝を成し遂げるまでに成長した。
ある意味で女子チーム“生みの親”とも言える創設提案者のインマは女子サポーターズクラブの初期メンバーとなり、後にカタルーニャ女子サッカー界の先駆者と呼ばれた人物。2018年に65歳でその生涯を閉じている。
今回の特別なエンブレムは、そんな女子チームのこれまでの歴史と近年の活躍、そして何よりも先駆者となった女性たちのスピリットに対して敬意を込めたものだ。