パリ五輪の男子サッカーは現地時間9日に決勝が行われ、開催国フランスを5-3で下したスペインが自国開催の1992年以来32年ぶりの金メダルを獲得した。

決勝戦としては珍しく撃ち合いとなり、エンターテインメント性の高いすばらしいゲームとなった。

先制したのはフランスだったが、スペインはすぐさま追いつき逆転。後半フランスに追いつかれたものの、延長戦で再び突き放して栄冠を手にした。

今大会のスペインは、圧倒的な強さを示したわけではない。個でずば抜けた選手がいたわけでもなければ、“ティキタカ”と呼ばれるボール回しで相手を圧倒する強さがあったわけでもない。

実際、全6試合を戦って日本戦を除く5試合で失点している。日本戦もVARで取り消された細谷真大のゴールが認められていれば、全試合失点していたということになる。

また、先制しながら一度は追い付かれた試合が3試合(ウズベキスタン、ドミニカ共和国、フランス)もあり、先制された試合も2試合(エジプト、モロッコ)ある。

それでも今大会の彼らは、粘り強かった。

先制あるいは追い付かれても下を向かず、しっかりと流れを断ち切るだけの強さが備わっていた。日本戦も細谷の取り消されたゴールまでは劣勢だったが、後半にはきっちり持ち直してきている。

スペインといえばこれまで“内容はいいが勝負弱い”とされてきた。それだけに意外だが、圧倒しない中で結果を残す彼らにむしろこれまで感じたことがない力強さを感じた。

今夏はEUROも制しており、ダブルでの栄冠となった。EUROでは大会中に17歳となったFWラミン・ヤマルが話題となったが、この五輪も17歳のDFパウ・クバルシが優勝に貢献している。

過程(プロセス)に固執しすぎるきらいのあったスペインは変わったのか。

パリ五輪に出られない「23歳以下の超スーパースター」たち

スペイン代表は2008年から2012年までEUROとワールドカップを3連続で制覇しているが、当時は黄金期だったバルセロナの選手に依存していた面がある。

もし今夏のEUROと五輪のダブル制覇が一過性ではなく“育成の答え”として出たものだとすれば、彼らの時代はしばらく続くのかもしれない。

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