[J2第28節ジェフユナイテッド千葉4-2ベガルタ仙台、25日フクダ電子アリーナ]
J2仙台はJ2千葉に2-4で敗戦。MF長澤和輝の門出を白星で祝うことはできなかった。この試合をもってチームから離脱し、自身2度目となる海外挑戦をする背番号37を一目見ようと、フクアリには多くのファン・サポーターが集まっていた。
長澤は「浦和や名古屋だけではなく、ケルンやジェフのときのユニフォームを掲げてくれる方も多くいました。僕がそうやって応援してもらえているのは、これまでの人生で挑戦してきた姿を見せられたからだと思っています。新たな挑戦になりますが、今後もその姿を応援していただきたいです」と感謝を口にする。
この日はキャプテンマークを巻き、4-4-2のダブルボランチの一角として出場した長澤。中盤の底からチームを動かし攻撃をけん引したコンダクターを、仙台の森山佳郎監督は「ピッチの中の監督」と形容する。
「長澤の最後のゲームだったので、勝って最高の形で送り出したかった。残念ながら叶いませんでしたが、長澤がチームを引っ張ってくれたからこの順位(現5位)にいる。試合の流れや状況によってチームを動かしていたのは長澤。抜けた穴は大きいので、ここから大変ですね」と指揮官は惜別。それだけ大きい存在だった。
今季リーグ戦27試合に出場し、1ゴール3アシストの活躍を魅せていた長澤は、昨季16位の仙台を森山監督と共に建て直した一人だった。J1復帰へ佳境を迎えている仙台はここから後継者探しに奮闘する。
「きょうも松下(MF松下佳貴)、工藤(MF工藤蒼生)、鎌田(MF鎌田大夢)の3人には『お前やれんのか?長澤の後をお前がやれんのか』って発破をかけておきました。リーダーシップでも彼が抜けた穴は大きすぎるので、一人でも誰かやってくれると思っているようじゃ、僕らはこここからずっこけていく」と指揮官は危機感を抱く。それでも最後には、「どうしましょう」と笑ってみせる指揮官の顔からは残された選手たちへの信頼も垣間見えた。
旅立つ37番もチームの成長を実感している。「去年はなかなか厳しい状況で、勝てないことやチームが分裂してしまうことがありました。でも今シーズンは粘り勝ちだったり、1-0の試合も多いですし、先制された後にひっくり返すゲームも多い。気持ちというか、細かいところで勝負をモノにできている部分は備わってきた」と、これからのベガルタ仙台は若い選手たちに託された。
長澤は「誰かがではなくて、一人一人が自分がやるんだって想いをもてるかが大切だと思います。常に矢印を自分に向けるように導いてくれた森さんの存在は大きくて、僕も選手として一緒にできたことは幸せでした。ここで自分を変えてやるっていう強い意志をもってやるしか、状況を良くしていく方法はない。そこは年齢関係なくみんなに期待したいところです」と語り、「逆にここをチャンスだと思って、これからのベガルタをつくってほしい」とJ1復帰を目指す仙台へエールを送った。