再びの挑戦
振り返れば挑戦の連続だった。長澤は千葉県の強豪・県立八千代高校で全国高校サッカー選手権の大会優秀選手に選ばれると、その後に専修大学へ進学。関東1部リーグでは通算62試合38得点の活躍をして、2013年冬に当時ドイツ2部のFCケルンへ加入すると、2013-14シーズンにおけるケルンの1部昇格に貢献した。
「あのときは22歳で右も左も分からない中で初めてのプロでした。そういった意味では色々な経験をここまでさせてもらった」と振り返る。
それから10年。現在32歳の男が再び海外挑戦をする理由はいたってシンプル。オファーがきたからだ。
「オファーの話をいただいてからはとても悩みました。チームのみんなとも話しましたし、快く送り出してくれとも言えない。そんな中で僕の想いを伝えると、『和輝の夢だったら』『和輝の気持ちなら』とみんなから背中を押していただきました。『この決断を成功にできるように』とも言葉をいただいたので、ありがたく思っています」
仲間たちやサポーターの想いに応えるためにも、2度目の海外移籍で結果を残したい。
「ベテランと言われるような歳になってきましたが、いくつになっても挑戦したいと思っている。肉体的にはすこし衰えてきた部分もあるかもしれないが、逆に経験だったり、頭の中は成長できていると思うので、そういったところでまた勝負したい」と語る32歳の自信は培ってきた経験からくるものだ。そのうえで「オファーがきて、環境があるんだったら、僕は挑戦するべきだと思う。年齢は気にしていない」と熱い気持ちは衰えない。
また今後について問われると「日本が強くなっていくために、海外で活躍できるサッカー人材になりたい」とも明かした。
不安よりも楽しみが大きい。試合後、拍手を送る仙台と千葉のサポーターに別れを告げた長澤は「異国の地でチームに入ることは簡単ではないですが、大変さの中に成長はあると思うので楽しみたいです」と目を輝かせて、古巣・フクアリから去っていった。