フロンターレに相応しい圧倒的な存在に

これまで川崎はアカデミー卒団後に大学で成長した選手を獲得している。MF脇坂泰斗、MF三笘薫(プレミアリーグ・ブライトン)を始め、2021年シーズンに桐蔭横浜大からGK早坂勇希を獲得してから、FW山田新、MF山内日向汰(ひなた)と3季連続でこの流れが続き、今季は神橋がその系譜に名を連ねた。川崎に復帰した選手たちの共通点は“大学サッカー屈指の存在”であり、上記した選手はリーグ戦、全国大会で圧倒的な活躍を披露し、山田と山内は桐蔭横浜大を全日本大学選手権(インカレ)制覇に導いている。

大学屈指のストライカーと称された川崎FW山田(Gettyimages)

神橋もその系譜に名を連ねた以上、さらなる成長をクラブから求められている。

「フロンターレのフロントの方にも『大学では圧倒的な存在にならなきゃいけない』と言われています。自分もそこに対してしっかりとアプローチしていきたいです。大学では林(義規)総監督がおっしゃってましたけど、『リーグ再開後には9連勝をする』、『(リーグ)後期を全勝する』ところは自分も強く共感しました。きょうもキャプテンマークを巻きましたけど、後ろからキャプテンシーを示してチームをまとめてやっていきたいと思います」と川崎に相応しい圧倒的な存在になると誓った。

この日行われた早慶戦は2-1で勝利して早稲田大の準々決勝進出に背番号4は大きく貢献したが、表情を曇らせていた。なぜなら試合開始早々の前半4分にカウンターから慶應義塾大FW香山達明(4年、埼玉・慶應義塾志木高)に頭で先制点を奪われるなど、宿敵にチャンスを多く作らせてしまったからだ。

激しい肉弾戦にも動じない神橋(右)

「慶応なので負けてはいけない相手でした。トーナメントですからチームとしても一戦必勝と、この大会の初めにも言っていました。まずは勝つことができて本当に良かったと思いますけど、僕らが定期戦で4-0で勝ったという過信が試合の入りに出てしまいました。甘さや隙が出てしまって相手に先制を許したところは、最終ラインとして責任を感じています。

(個人の出来も)きょうはまったく良くなかったです。相手のフォワードも結構タッパがある選手で、そういう相手の武器、強みに対しても自分が完封しなきゃいけなかったと思います。空中戦に関しては勝率100%を目指しているので、それを考えるときょうの試合はまだまだだと思います」と反省を口にした。

個人として目指す目標は大学サッカー屈指のセンターバックであるだけに、自己評価が非常にきびしい。ただ川崎に相応しい存在になるために壁を乗り越えて他の追随を許さない傑出したディフェンダーへと一歩ずつ歩みを進めている。

大学屈指の存在を目指す神橋

早稲田大は現在関東大学2部で8位と1部昇格圏内の2位慶応義塾大と勝点が8点差離れている。高い目標を掲げる神橋は個人の成長とともに、残り9試合で白星を重ねて、チームの3季ぶり1部復帰を目指している。

「慶應に直近で2連勝できたことは間違いなく自信を持っていいと思います。ただきょうの入りみたいに自分たちが思っていなくてもどこかで過信、甘さが出てしまうと思います。隙を取り除く作業はこのリーグ中断期間に取り組まなければいけない部分です。自分もチームに対して強く要求していきたいと思います。リーグに関しては林総監督がおっしゃった『再開9連勝、全勝する』は間違いなく自分たちが昇格する上で必要なことです。いまは慶応が(順位で)上にいますけど、いい流れで再開に持っていけたらと思います」とチームともに成長を遂げて1部復帰にけん引する構えだ。

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準々決勝は9日午後2時に宮城・セイホクパーク石巻フットボール場で総理大臣杯3度優勝の筑波大と対戦する。神橋は「相手にとって不足がないですし、素晴らしい相手なのでしっかりと叩くいい準備をしたいです」と闘志を燃やす。川崎に相応しい大学屈指のセンターバックになるために、筑波大戦で実力を証明する。

(撮影・取材 高橋アオ)

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