サッカーでプロを断念して引退したが、7人制サッカー『ソサイチ』で日本一を目指して日夜奮闘している選手がいる。

ソサイチ関東リーグ2部Verdadeiro (ヴェルダデイロ)FSCの元ソサイチ日本代表MF佐藤玲央は、チームの代表を務めながら選手としてもチームで日本一を目指している。

ソサイチは1チーム7人で前半20分、後半20分の計40分間で試合を実施する競技で、フルサイズのサッカーフィールドの約4分の1サイズのピッチで試合が行われる。フットサルと同様にオフサイドの適用はなく、控え選手との交代も制限がない。

「サッカーとは違ってプレースピードが早いので、その中でサッカーと違った早い展開が見られるところが一つの魅力だと思います」と佐藤が言うように、サッカーとは違ってピッチサイズが小さいため、素早い判断とプレースピードが求められる。

過去に青森山田高でサッカーに励んでいた青年は、なぜ7人制サッカー『ソサイチ』チーム創設に関わり、日本一を目指しているのか。ソサイチの魅力とともに男の軌跡を追った。

円陣を組んでチームを鼓舞する佐藤(中央)

過密日程も緊急GKもなんのその

FOOTBALL 7 SOCIETY LEAGUEソサイチ東北リーグに越境参加したVerdadeiro FSCは、ラソススポルチクルービ仙台と8月初旬に仙台市内で対戦。目まぐるしく攻守が入れ替わり、両チームが素早い攻撃を見せた。終始主導権を握ったVerdadeiro FSCが9-2で圧勝した。

仙台市出身の佐藤は「故郷で勝てたことが気持ちいいですね。先週初めて仙台でソサイチをプレーできました。これまで東北でソサイチをやったことがなかったんですけど、先週仙台で初めてやる試合で決勝ゴールを決めて、きょうも2連勝できました。故郷でソサイチができて、自分が100パーセント注ぎ込んでいるものを表現できることがすごくうれしいです」と凱旋勝利に笑顔を見せた。

チームは関東2部に所属しながら東北リーグでも戦っている。地域リーグ2部以下は他地域のリーグに越境参加が可能であり、東北リーグは1~3位で優勝決定戦(プレーオフ)が行われ、勝ち抜いたチームが全国大会『F7SL CHAMPIONS CUP 2024』の出場権を獲得できる。

そのため関東2部では全国大会出場権を獲得できないため、出場権を獲得できる東北リーグに越境参加をしている。ただ越境参加のデメリットとして過密日程を強いられるため、この日行われた試合の翌日にチームは関東2部リーグの試合を控えていた。

この一戦でゴレイロ(ゴールキーパー)が接触プレーにより負傷を懸念して交代を強いられたため、MFを本職とする佐藤がGKを務める一幕もあった。

GKを急きょ務めた佐藤(左)

「僕がキーパーをやってから失点していないので、残り10分はゼロで締められたので良かったです(苦笑)」とアクシデントもなんのその。

翌日の試合のために試合終了後にはすぐ関東へ戻らなければいけない過密スケジュールなど過酷な選手生活を送っている佐藤だが、ソサイチの魅力に惹かれた男は夢を抱いていた。