【J1第37節柏レイソル1-1ヴィッセル神戸、11月30日、千葉・三協フロンテア柏スタジアム】

ホームでJ1残留を決めたかった柏は、神戸に1-1で引き分けた。前半5分にコーナーキックから柏FW木下康介のヘディングシュートで先制したが、アディショナルタイム(AT)に突入した後半50分、ペナルティーキック(PK)を献上した。キッカーの神戸FW大迫勇也の失敗により難を逃れたが、同55分に神戸FW武藤嘉紀(よしのり)に同点弾を決められて、J1残留は最終節の結果次第となった。

センターバックコンビが見せた大迫封じ

柏のJ1残留は2季連続で最終節に持ち越された。昨季18チーム中17位(最下位のみ降格)でトップディビジョンを終えたチームは、7位以内という目標を掲げて新シーズンを戦ってきたが、今節終了時点の順位は勝点41で16位となった。

目指していた場所とは、ほど遠い現在地について柏の主将DF古賀太陽は「去年から変わった姿を見せられなかったことに責任を感じている」と唇を噛んだ。

ここまで4試合連続でATに失点していた柏は、中断期間で攻撃面の強化を重点的に行った。チームはJ1第29節の東京ヴェルディ戦以降、複数得点を奪えていない。ゴールを積極的に取りにいくことで、弱点となっている終盤の脆さを補いたかった。

イレブンの取り組みは試合開始早々に実った。柏MFマテウス・サヴィオを中心にピッチを広く使うダイナミックな攻撃を展開したホームチームは、左コーナーキックを獲得した。

前半5分にキッカーを務めた柏MF手塚康平の左足キックは放物線を描きながら、身長190センチと上背がある木下の頭上へ。力強い跳躍を見せた背番号15は難なく相手DFとの空中戦に勝利し、ヘディングシュートをゴール右側へ流し込んだ。

幸先良く先制した柏は、天皇杯王者に自由を与えなかった。

やみくもに相手DFを追いかけるのではなく、じっくりとパスコースを限定した2トップの柏FW細谷真大と木下。出しどころを失った神戸の守備陣は、ロングボールを蹴らざるを得なかった。

堅守を支えたキャプテンは「プレッシングや、自分たちのやりたいことは表現できた。前の選手がうまくコースを限定して、自由にボールを出させないようにしてくれたので、自分たちはうまく(ロングボールに)対応するだけでした」と、アタッカー陣の守備を称賛した。

プラン通りにロングボールを蹴らせた柏だったが、最終ラインで待ち構えている選手は大迫や武藤といった日本代表クラスのストライカーだ。Jリーグ屈指の前線を誇る敵のアタッカー陣を抑えるために、古賀はセンターバックの相方である柏DF立田悠悟と念密な作戦会議を行った。

「自分と悠悟が二人で(後ろに)残る形が多かったので、(大迫を)縦で挟んだり、二人でどう守るか、どう(ボールを)回収するべきかをピッチ内で話し続けました」

日頃からイメージを共有しあった柏DF古賀太陽(左)とDF立田悠悟(右)(撮影:浅野凜太郎)

神戸戦前のトレーニングから、積極的にコミュニケーションを交わしていた背番号4と背番号50。立田がマンツーマン気味に昨季J1MVPとリーグ得点王に輝いた大迫を警戒しながら、そのカバーに古賀が入るという連係プレーで、圧巻の守備を披露した。

中断期間中から守備のイメージを共有しあったセンターバックコンビは、試合終盤まで集中力を切らさずに、黄色い壁を築いた。

試合は1-0のまま、柏にとって課題のATに突入した。