キャプテンが夜明けへと導く
ファウルの多さを気にかけていた主将は「(ATが長くなると)予測はしていた。残り15分になってから『とにかくここからだ』と声をかけ合っていました」と、踏ん張りどころをチームに共有したが、いつものクセは直らなかった。
後半47分に柏DFジエゴがボックス内でファウルをしてしまいPKを与えると、同選手はこの日2枚目のイエローカードを受けて退場となった。PKはキッカーを務めた大迫のミスキックによってゴール右上へ外れたが、何よりも守備のピースが一人欠けたことが痛かった。
「PKは仕方がないですが、10人になってからの残り時間はかなり長く感じました。自分たちは『ここからが課題だ』と理解していましたが…。数的不利になったので、なんとかして相手に自由を与えないようにプレッシャーをかけました」
柏は同49分に攻撃の要だったサヴィオを下げて、DF三丸拡(ひろむ)を投入。完封で逃げ切りたかったが、同55分には武藤に同点弾を決められ、AT13分にも及ぶ激闘は1-1の痛み分けとなった。
攻守において、昨季のリーグ王者を上回った黄色と黒のイレブンだったが、またもATに失点した。柏の井原正巳監督は5試合連続で許したAT弾について「人生で経験したことがない」と苦笑いを浮かべた。
柏は最終節でJ1北海道コンサドーレ札幌と対戦する(8日、北海道・大和ハウス プレミストドーム)。既にJ2降格が決定している相手に対して引き分け以上、負けても他会場の結果次第ではJ1残留が確定する。
古賀は淡々と神戸戦を振り返りながらも、ふつふつと沸き上がる最終節への決意を口にした。
「結果的には同じことの繰り返しになってしまった。札幌戦は難しい試合になる。気持ちよく勝っている印象もあまりない相手です。
でも、自分たちは自力で残留を決められる。残留が懸かっているので、相手よりも高いモチベーションを持って臨むだけ。残り1週間、いい形で(今季を)終えられるようにしたい」
劇的同点弾のJ1神戸FW武藤嘉紀が投げかける厳しい言葉の数々「仲良しでやっているわけじゃない」
主将として2季連続の残留争いを味わっている背番号4は「これだけ苦しいシーズンでも前向きな言葉をかけてくれるサポーターのためにも最後は勝って、来年につなげる」と前を向いた。明けない夜はない。最終節に白星を挙げて、柏を支え続ける太陽がチームを夜明けへと導く。
(取材・文 浅野凜太郎)
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