27日夜に行われたダイヤモンドカップオブレジェンド(DIAMOND CUP OF LEGEND)では、ワールドレジェンズが4-3で勝利をおさめた。

この試合は、水曜日の夜19時キックオフ(配信は18時45分から)と平日だったにもかかわらず17時の開場前には入場待ち、当日券待ちの列にはずらりと人々が並んでいた。

試合が行われたニッパツ三ツ沢球技場では多くの人々が熱狂をしたように見えた。

ここでは、なぜここまで盛り上がったのかについて掘り下げてみたい。

現代サッカーと昔のサッカーへの懐古

サッカー日本代表がワールドカップアジア予選で苦戦することは少なくなり、ほとんどの選手はヨーロッパでプレーしている。確実に強くなっている一方で、日本においてJリーグやワールドサッカーに関して、明るい話題ばかりではない。

サッカーの戦術が進化する一方で、元プロ選手側からも「90分見るのがしんどい」「フィジカル、戦術重視になった」「VARでいちいち試合が中断されるのはどうなのか」とかつてのサッカーを懐かしむ声がしばしば聞こえる。

高まる放映権料に民法で無料でスポーツ中継が行われることは減り、有料放送が放映の中心になった。戦術やフィジカルが重視されると個性的な“ファンタジスタ”の活躍の場はないといった意見はその代表格だ。

その中で大きな宣伝もなく(だからこそ当日券を求める声は当日多かった)、過去の名選手を集めて日本で試合をすることは大きなリスクがあったに違いない。

だが、蓋を開けてみれば大成功だったと言えるのではないだろうか。

オールスターチームの興行

2000年代頃までは世界選抜的なオールスターチームが世界各国で親善試合を行うことは珍しくなかった。実際、日本からも中田英寿などはその常連であった。

ところが、こうしたオールスターチームは一筋縄ではいかない。ワールドレジェンズのキャプテン、ミチェル・サルガドに対して「初めてプレーをした選手たちもいるのではないか?」とインタビュアーから質問が飛んだように戦術はあったものではないし、お互いが怪我をしないように中盤で激しいプレスを見せることもない。

ある種“牧歌的”に個々の技術を楽しみながらゆるい視聴をするのは、普段のリーグ戦に対して刺激的ではない。事実、こうしたオールスターチームを組んでの世界各国での興行はあまり見られなくなっているように思う。

あるいは「国内リーグのメンバーを中心にオールスターを」という、野球を見習ったスタイルも定着しなかった。JリーグでもJOMO CUP Jリーグドリームマッチは2001年に、オールスターゲームは2007年を最後にそれぞれ開催されていない。

アメリカのMLSが1996年を皮切りに今でも毎年オールスターゲームを続けているのが稀有なほどだ。(2020年は中止)