日本陸連の「自己都合」と河野の「日産開催」案

ではなぜ、新国立の補助競技場として代々木公園や東京体育館を使えないのでしょう。これはもう、「日本陸連がそう決めた」以外の理由はありません。

ただし、「五輪スタジアムは全席屋根付き・8万人収容」と定めたIOCや、同等の規模を求めた国際陸上競技連盟(IAAF)と違い、これは日本陸連の判断でどうでも動かせる部分です。そして、「世界にいくつかある五輪規格スタジアム」の一つとして新国立競技場を他と平等に扱う必要があるIOCやIAAFとは違い、「日本を代表する特別な競技場」とすれば、この問題はほぼ解決されます。

現計画のように、2020年五輪で本格的な臨時サブトラックを絵画館前に作る必要があるかは議論が必要ですが、少なくとも日本陸連が狙っている「恒久的な補助競技場」は、数百億円の予算浪費と非難されても仕方のないものです。

やる気配もないインターハイを大々的に取り上げさせ、現在の国立でも大きな支障なく行われているインカレを隠蔽している点が、日本陸連が伏せている2つ目の「不都合な事実」です。それに沿った記事を書いた産経新聞の記者や、社説にまでした毎日新聞の調査不足と共に、これは明確に指摘されるべきでしょう。

毎日新聞 2013年12月23日付社説 「新国立競技場 五輪の後を考えよう」
http://mainichi.jp/opinion/news/20131223k0000m0701...

これへの対策として、河野は自民党PTの文科省ヒアリングで「日産バックアップ案」を提起しました。サブトラックの常設化が確定できないのなら、陸上競技を新国立ではなく日産スタジアム(名称は「横浜国際総合競技場」になるはず)で行う事を求め、馳とも確認したというのです。

確かに日産スタジアムは日本最大の陸上競技場ですが、実質的な収容人数は7万に届かず、更にスタンドの前方部分、全体の約半分は屋根がかからないという不備があります。晴海から新横浜までの移動も大変なので、もしかしたら横浜市内に「第二選手村」まで必要かもしれません。

新国立に厳しい建設費上限を定めながら「常設の補助競技場」も求める意見が矛盾なのは、恐らく河野本人も十分承知しているでしょうが、新たな投資が必要となりかねないこの日産代替案がどこまで現実的かはさらに不明です。スタジアム規準の妥当性と開催権剥奪という「チキンレース」を、しかも観衆へのサービスや収益性を切り下げる方向で、どこまで挑めるでしょうか。

他人への評論ばかりになってしまった「その1」でした。

ここで一度切って、「その2」ではもう一つだけ論評を、もう少しサッカーファンらしい視点からした上で、私自身の意見をまとめたいと考えています。

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