しかし、ユベントスの3センター+ヴィダルも柔軟にこれに対応しようとする。この場面は、試合において最も印象的だった場面の1つだ。

相手のセンターハーフ2枚が、それぞれボールを受けようとする形に合わせて中盤が有機的に対応。左サイドの数的不利を解消すべきと見たヴィダルが、ロナウドへの警戒を強めながらポグバ(中盤左)とピルロ(中盤底)の間へと落ちてきている。

一方でハメス・ロドリゲスにはマルキージオ(中盤右)が対応する準備をしており、ヴィダルとマークを受け渡したポグバは、そのままイスコへのプレッシャーをかけられる状態。ボックスとダイヤモンドの融合系のような形は、レアルの形に合わせて自然に組み上げられたものだった。

即興で組み上げられるソリスト達によって完成するジャズの演奏のように、動き始めるレアル・マドリード。彼等は、中央に絞る2人のサイドハーフに狙いを絞る。純粋な4人のMFではなく、1人が前に出る際には3センターに移行するシステムを取るユベントスの「外のMFが内側に絞ることにより生まれるスペース」をレアル・マドリードは崩しにかかった。

ピルロのサポート、という意識を逆手に取り、大外のサイドバックから攻撃を狙う形が機能。特に右サイドバックとしてプレーするカルバハルからの攻撃は、何度となく行われた。中央に入り込むロナウドの高さとベンゼマのポジショニングセンスを利用して、シンプルにゴールを狙う作戦と言える。

この3つの場面は、右サイドからの攻撃が決まった場面だ。

マルセロが内側に絞って組み立てに絡み、中央に3センターを絞らせる。そして、ポグバが本来は見なければならない外のスペースへ、右サイドバックのカルバハルがオーバーラップ。外からの攻撃で、レアル・マドリードはチャンスを作り出そうとする。

とはいえ、ユベントスが誇る鉄壁のCB陣は中央からのクロスボールを何度となく跳ね返す。外からの攻撃への対策は万全といった雰囲気で迎え撃つユベントスが、流れを掴むことになるかと思われた。

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