先制ゴールを生み出した、恐るべきベンゼマのフリーラン

18分、中央に入り込んだ左サイドバックのマルセロが、ユベントスの中盤を惑わす。

右センターハーフ、右サイドハーフを兼任しているようなポジションを取るマルキージオを、マルセロが高い位置に誘い込む。それに呼応するように、ベンゼマがマルキージオの裏に生まれるスペースへ。この後、ベンゼマへのスルーパスで大きなチャンスが生まれている。

ここでの問題は、マルキージオ以外の中盤が「レアル・マドリード側から見て右寄りになり過ぎている」ことだ。ここでマルキージオが出て行ったスペースを埋めるのであれば、全体がスライドすることでベンゼマへのパスコースを消す必要がある。

これは、レアル・マドリードの右サイドからの執拗な仕掛けによって生まれたスペースを、1トップのベンゼマが絶妙な動き出しで狙い打った形だ。そして、彼の動き出しが先制点に繋がるPKを生み出すことになる。

ここでは一度ベンゼマが、ボランチの様な深い位置へと落ちる。同時に左ウイングのロナウドがCFのポジションへと入り込み、ハメス・ロドリゲスがマルキージオの裏に生まれるスペースを狙っていく。

ピルロが対人に強いタイプではないことから、ここで前線へと上がって行くベンゼマを見るのはヴィダルとなる。

ベンゼマが低い位置から、高い位置へと長い距離を走って行くことによって中盤のヴィダルを引き付ける。

これによって、「ピルロが後ろ、ヴィダルが前」という本来の位置関係が崩れる。機動力とフィジカルに優れたヴィダルが請け負っていたはずの赤い線で囲ったスペースが、ここで瞬間的に空いてしまった。

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