アッレグリの「対話法」。鍵となるセンターハーフ

リスクをマネジメントしながら、ユベントスのカウンターを食い止めたカルロ・アンチェロッティ。後半、今度はマキシミリアーノ・アッレグリがその対策を披露することになる。

それまで、中央からのオーバーラップが多かったセンターハーフをサイドに配置。特にヴィダルが、積極的にサイドから前線へ飛び出していく。アンチェロッティが張った罠となる中央のスペースではなく、外からの攻撃。これは、緻密なバランスで成り立っていたレアル・マドリードのバランスを崩していくことになる。

例えばこの場面。戻りが遅れたセンターハーフの位置でFWのテベスがボールを持ち、ヴィダルは左サイドに進出。先ほどは「奪いどころ」だった中央のスペースではなく、相手右サイドバックの裏を意識させることでCBの足を止めている。

では、何故この場面でCBが迎撃に行くことが難しいのだろうか? 答えは簡単だ。セルヒオ・ラモスはモラタを見なければならないし、ヴァランはサイドバックの裏に抜け出された場合を考慮する必要がある。そうなると、ボールを保持するテベスを潰しに行くことが出来ない。

ヴィダルを高い位置に出すことで、一見アッレグリが「リスクを覚悟で攻めに出た」様に見えるのだが、実際は微妙なバランスで成り立っていたレアル・マドリードの守備を崩壊に導こうという狙いがあっての手だったという訳だ。

サイドバックの位置でボールを奪うことが出来ても、ヴィダルは自然にプレスに移行可能。この位置からでは、レアル・マドリードも攻撃に移って行くことが難しい。この場面では、ポグバもしっかりと縦パスのコースを潰している。相手の「奪いどころ」を外していくことで、攻撃を牽制することにも成功したのである。

ヴィダルの飛び出していくスペースは、左だけにとどまらない。時には右にも現れる変幻自在の仕掛けは、レアル・マドリードの守備陣を混乱に陥れた。

【次ページ】ポグバの位置取りにも変化が