その仕組みを知るためには、「ジャパンコンソーシアム」について知っておく必要がある。

ジャパンコンソーシアムとは、五輪などの世界的スポーツ大会を限定に組織される共同放送機構のことだ。

NHKと日本民間放送連盟(民放連)によって構成されており、放映権の獲得から番組制作までを各放送局が局の壁を越えて行う。つまり、放送各社が一つのチームになって五輪の中継を担当するのだ。

ジャパンコンシーシアムが組織されるようになった理由はいくつかあるが、放映権の高騰を防ぐためというのが一つだ。

五輪のような巨大スポーツイベントには、キラーコンテンツが存在する。男子サッカーもその一つであり、水泳や体操、マラソン、あるいはウサイン・ボルトが出場する陸上競技もそれにあたるだろう。

仮に五輪の放映権販売が競技ごとに行われれば、そうした競技は高騰する可能性があるわけだ。

また、五輪はあまりに規模が大きいために一つの放送局が全競技、また全種目の取材をカバーするのはとてもできない。そこで取材や番組制作を一括で行えるようにすることで、取材の幅に厚みを持たせているのだ。

こうした事情もあり、「NHKで民放実況が流れる」といった事態が発生しているわけだ。

ちなみに、ジャパンコンソーシアムが組織されるのは五輪とサッカーワールドカップの二大会のみ。ワールドカップでもそうした"ねじれ”は発生することがある。

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