チームを支えるキーマンたち

スコルジャ監督が標榜するスタイルを最前線でけん引するのが、エースの興梠慎三だ。Jリーグ通算165ゴール(第9節終了時点)を誇る点取り屋は、北海道コンサドーレ札幌への期限付き移籍から2シーズンぶりに復帰。ここまでチームトップタイのリーグ戦2ゴールを挙げる活躍を披露している。

36歳の今も巧みなポストプレーは衰え知らずで、中盤に降りて起点となり、シンプルなつなぎで時間を作る動きは流石の一言だ。また、指揮官が求める前線からのプレスも精力的に実行し、ベテランらしい戦術眼の高さで攻守に貢献する。

指揮官も全幅の信頼を寄せており、今季初ゴールを記録した第6節・柏レイソルとの試合後には「“浦和の将軍”と言ってもいいと思います。本日も良い仕事をしましたけれど、日々のトレーニングでも彼はハードワークを見せています」とその働きを讃えている。どのような展開でも頼りになる背番号30は、欠かせない存在だ。

興梠とゴール数で並んでいるのが、左右のサイドバックで躍動する明本考浩だ。サイドバック、サイドハーフ、フォワードなど複数ポジションに対応するマルチロールは今季、左サイドバックが主戦場に。酒井宏樹の負傷離脱後は右サイドバックに回るなど対応力を見せている。

90分走り続ける走力と推進力のあるドリブルに定評のある明本は、得点力にも磨きをかけている。第9節終了時点で2ゴールをマークしており、このペースでいけば2021シーズンのリーグ戦4ゴールを超え、J1でのキャリアハイを更新するだろう。

今季の2ゴールはどちらも美しいが、第6節・柏戦で決めたジャンピングボレー弾が特に素晴らしい。難易度の高いシュートはもちろんのこと、試合終盤でも落ちない加速力で一気にペナルティーエリアへ侵入し、相手ディフェンダーの視界から消える動きでボールを呼び込む技術が冴えた。

インパクトのあるプレーが続く明本は、ぜひ日本代表に呼んでほしいタレントだ。3月の国際親善試合での日本代表は、サイドバックが中に絞る動きが採用されており、今後も攻撃センスに優れた選手が重宝される可能性は十分にある。6月の代表戦で招集されるか、大いに注視したい。