2部リーグを舞台にした理由

――作品内では『N2』と呼ばれる2部リーグが舞台となっていますね。

「2部リーグを舞台に設定したのは、物語のスタートとしてクラブが低迷していることが明確で、1部への昇格という分かりやすいゴールがあること。

そして、昇格しても1部での戦いという先のステージでの挑戦があるという部分をポジティヴに描きたかった、という理由があります。最初からトップリーグにいるクラブだと、『優勝したら終わり?』という気もするので。

ちなみにJ2が好きなのではなく、ジュビロがいるカテゴリーが好きなので、去年はJ1、今年はJ2ばかり観戦しています。今年はJ2に静岡県勢が3クラブありますが、初昇格の藤枝MYFCも攻撃的で面白いサッカーをしているので興味を惹かれています」

――その藤枝から今季J2で日本人最多13ゴールを挙げていたFW渡邉りょう選手がセレッソ大阪へ、アシスト王のMF久保藤次郎選手が名古屋グランパスへ引き抜かれました。

「それなんです!J2は特にそれが多い!熱心なサポーターさんなら御存知の通り、J2で前半戦好調だった選手が、夏の移籍市場でJ1へ引き抜かれていく。“個人昇格”と呼ばれるものですね。

チームにとってはここから佳境に入るタイミングで主力が抜かれるのは悲しいことでもあるのですが、これはもうJリーグの風物詩の1つと言えますよね。

また、最近では徳島ヴォルティスからリカルド・ロドリゲス監督(元浦和レッズ)とダニエル・ポヤトス監督(現G大阪)が2代続けてJ1クラブに引き抜かれるということもあって、監督にも個人昇格があります。そういうストーリー性を考えて2部を舞台にしました」

過酷な下積み時代を経験も、お蔵入り作品が連載に

――話は変わりますが、漫画家になるキッカケはあったのですか?

「キッカケは小学5年生の時、1年間の不登校を経験した頃にあります。身体は健康でしたし、特に理由はなかったのですが、意欲が湧いて来ないと言うか。

でも、漫画を読んでいる時は元気で、意欲も湧いて来るんです。だから、僕も誰かに元気を与えられるような漫画を描きたいと思って、漫画家を目指すことにしました」