Germany
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4
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2-1
2-0 |
1
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England
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クローゼ ポドルスキ ミュラー ミュラー |
20' 32' 67' 70' |
得点者
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37' |
アップソン |
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FIFA.com 選定 | Qoly.jp 選定 | |
ミュラー(ドイツ) | クローゼ(ドイツ) |
この2試合を1つに凝縮したかのような試合だった。まったく逆の展開として、だが。
立ち上がりは、ラインを上げてショートカウンターを狙うドイツと引き気味で慎重なイングランドという構図だった。それが崩れたのは20分、GKノイアーのゴールキックをテリーが被ってしまい、アップソンを振り切ったクローゼが先制点をもぎとってからだ。なんともお粗末な失点で、テリーの衰えと、アップソンの遅さが際立ったシーンだった。
イングランドの守備は崩壊していた。バリーとランパードがエジルをフリーにさせすぎ、MFとDFの間で簡単に前を向かれてしまう。さらにアップソンとコールが釣りだされ、空いたスペースにミュラーとクローゼが走る。個人間で守り方がバラバラで、簡単にスペースを空けてしまうのだ。スピードの差も相まって、2点目が入るのは時間の問題だった。そして32分、上で述べたそのままの展開でドイツが右サイドの裏を取り、逆サイドに振ってポドルスキが2点目をゲット。
しかし5分後、ショートコーナーからのクロスにアップソンが飛び込み、打点の高いヘッドで1点を返す。ドイツのDF、ボアテンクが簡単にマークを外してしまった結果だった。
これで息を吹き返したイングランドは、美しくはないが力強い攻めでペースを掴む。左サイドでルーニーがボールを引き出し、ランパードとジェラードが守備を無視した攻め上がりを見せる。そして、問題のシーンが起こる。ランパードがDFの裏に抜け出し、GKノイアーをあざ笑うようにループシュート。ボールはクロスバーに当たり、ゴールラインを割った・・・・はずだった。まったく追いついていなかった副審はノーゴールを宣告。世界中の誰もが、1966年の「疑惑のゴール」を思い出したことだろう。イングランドは試合を振り出しに戻す最大のチャンスを不当に奪われた。
後半はイングランドが雑ながらもしつこく縦パスを入れてゴールに迫り、ドイツがカウンターを狙う展開。勝敗を分けたのは67分のFKだった。ランパードが蹴ったFKは壁に当たるが、ランパードはハンドを主張して足を止めてしまう。その間にドイツはバリーからボールを奪って右→左と綺麗につなぎ、最後はシュヴァインシュタイガーのパスをミュラーが豪快に決めて3-1。さらに3分後、クリアボールを拾ったエジルがバリーをぶっちぎり、最後はまたもミュラー。完璧なカウンターが2連続で決まり、勝負は決まった。残りの時間、イングランドはまるで生ける屍だった。
決して足を止めず、カウンターを食らうリスクを犯してもスペースに飛び出す動きを辞めなかったドイツは、体力的にも精神的にも充実していた。翻ってイングランドは、守備組織が最後まで整備されず、攻撃も選手の能力を上手く組み合わせることができなかった。最後の20分間の体たらくは、イングランド・ファンでなくともおぞましいものだった。鬼軍曹カペッロをしても、精神的な弱さを改善できなかったということだ。イングランドはまたも失意の中、帰国の途に就くこととなった。