『Goal.com』の国際版は、この冬の移籍市場で起こった大型取引を、「金額」、「注目度」などの観点からベスト10形式にまとめたが、今稿では前回の記事の引き続き、独自の分析を交えつつ第5位から第1位に触れてみたい。

第5位は、夢のクラブであるバルセロナでの挑戦権を獲得したイブラヒム・アフェライ。

監督のグアルディオラが強く熱望したこの移籍は、移籍市場が開かれる前に既に契約に至っていたという異色の展開であったが、これは「この移籍騒動でPSVのチームメイトに迷惑をかけたくなかったし、プレーに集中するために早く決着をつけたかった」というアフェライ自身の希望が反映された形だ。本人は「最も活きるのは右ウィング」と豪語しているが、今後、どのような選手へと進化を果たしていくか大変興味深い。

第4位は、“東欧のエース”から“欧州のエース”へと勇躍を誓うエディン・ジェコ。

ブンデスリーガにおいて111試合で66得点という驚異的なペースでゴールを量産したボスニアの象徴は、ヴォルフスブルクで日本代表MF長谷部誠と同僚であったこともあり、日本人サッカーファンからの知名度は高いが、この知名度を世界的なものに出来るか否かはプレミアリーグでの活躍に懸かっている。未だマンチェスター・シティでは無得点であるが、フィジカル、テクニックは申し分なく、ゴールに貪欲な姿勢を持つ彼であれば、きっかけさえ与えれば大爆発することだろう。

第3位は移籍市場が迫る直前になってイングランドを激震させたフェルナンド・トーレス。

一時はチェルシー側のオファーを拒否したリヴァプールだったが、国内レコードとなる5850万ユーロという破格の提示にはさすがに拒否できなかったようだ。度重なる故障の影響でパフォーマンスを落としている彼を半ば強引に連れてきたチェルシーの判断については、ブルーズ・サポーターも賛否両論のようだが、ドログバ、アネルカらと共存させるか、もしくは、得意の人心掌握術で巧く使い分けるか・・・、指揮官アンチェロッティの采配に注目したい。

第2位は念願であった欧州トップリーグへの移籍を果たしたルイス・スアレス。

リヴァプールがアヤックスに支払った移籍金は2650万ユーロだが、フェルナンド・トーレスが去りし今、その金額以上の期待を浴びていることだろう。実際に、金額的にはアンディ・キャロルのほうが上回っているが、リヴァプールでの成功率はルイス・スアレスのほうが高いと見る有識者も多い。いずれにせよ、ケニー・ダルグリッシュの起用法次第となるだろうが。

そして、第1位に選ばれたのはサンプドリアから移籍金非公開でミランへ加入したアントニオ・カッサーノ。

「何故、これが1位なんだ!?」と疑問に思われる方は多いかもしれないが、『Goal.com』が選考理由として記述した「彼の力がスクデットへの原動力になることは疑いない」、「多くの決定機やゴールを創出するだろう」という考えは決して過大評価ではないと思える。イブラヒモヴィッチから「ダイエットをしたほうがいい」と突っ込まれたこともあるように、まだまだトップコンディションと言えない状況にも関わらず、既に3アシストを記録。90分フル活動できるような状態に戻れば・・・ミラニスタは想像するだけでワクワクすることだろう。

ツꀀ

と、『Goal.com』が選出したベスト10を参考に、前回の記事を含めてこの冬に決まった大型移籍を振り返ってきたが、日本人としては長友のインテル移籍が第1位であったことは言うまでもない。大学リーグのスタンドで太鼓持ちをしていた男が大きな飛躍を遂げ、現世界王者の一員となるというストーリーは、ある意味、漫画『キャプテン翼』以上に夢のある話だろう。私にとって少なからず縁のある選手だからということではないが、インテルで完全移籍を勝ち取り、夢の果てである世界最高サイドバックの称号を手にする日が訪れることを心から願っている。


「Forza Nagatomo!!」

ツꀀ

(筆:Qoly編集部 T)

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