FIFPro(国際プロフットボール選手協会)の事務局長を務めているテオ・ファン・セヘレンがロイターのインタビューに答えた。彼は昨今の選手が「甘やかされている」というイメージを持たれていることを危惧した。
3月15日、モンテネグロ人FWニコラ・ニケジッチがクバン・クラスノダールに契約解除を迫られ、銃で脅された上に20分間にわたる暴行を受けるという事件があった。
彼の場合は極端な例ではあるが、平均的な選手のライフスタイルはイメージとはほど遠い。大邸宅もないし、スーパーカーにも乗っていないし、派手な結婚式だって挙げたりはしない。大半はチームや無節操な代理人に翻弄されつつも外国で働く、普通の賃金労働者に過ぎない。加えて、30代で引退する際には大きな困難に直面する。
「サッカー選手と言えば、金、女、車。我々はそのイメージが現実でないことをよく知っている。多くの場合はそれとは真逆だ。たとえば、オランダの2部でプレーしている選手の平均給与は年40000ユーロに過ぎない。それが生きるのに十分な額だとは言えない」
「我々の60000人のメンバーのうち、95%はその日その日の給与のために働かなければならない、普通の労働者だ。彼らは小さな家に住み、住宅ローンを払い、小さな車に乗り、家族を持ち、子供を学校に行かせている。有名な選手はガレージに車を3台持っている。あまり有名でない選手は自転車に乗っている。しかし、彼らは同じ試合でプレーしているんだ」
「選手たちが一日一回練習に出るだけで、あとはコンピューターゲームでもして休んでいるというのも現実ではない。彼らは他にも個々のトレーニングを行い、メディカルケアもしなければならない。ドーピングコントロールも必要だ。社会貢献をし、病院も訪問する。社会奉仕の義務を持ち、さらに旅をする。フルタイム労働以外の何物でもない」
「一番難しいのは引退後だ。キャリアを終えてから他の仕事に就くまでに2年間。95%の選手はサッカーと関係ない仕事を探す。しかし、同じ教育を受けた20歳の若者がいる中で、10年前に学校を卒業したサッカー選手を雇いますか?」
「金融危機によって、クラブはこれまで以上にお金を失っている。移籍によって利益を得たのは1%未満。まるでロシアンルーレットのようだ。唯一ポジティブなことは、サッカー界の問題が公開されたことだ。今までは毛布が掛けられていて、誰もそれを持ち上げようとはしなかった」
(筆:Qoly編集部 K)
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