エスパニョールなどでプレーしたラウール・タムードは今シーズンからメキシコのパチューカへと移籍。 そのタムードは先日行われたアトランテとの今季開幕戦に先発フル出場、残念ながらゴールはなく試合もスコアレスに終わったが、新天地でのスタートを切った。
パチューカはレアル・マドリーなどでもプレーしたメキシコの英雄ウーゴ・サンチェスが指揮をとる同国の名門だが、ここ5年ほどタイトルから遠ざかっている。そんななかチームに迎え入れられた34歳の元スペイン代表FWはスペイン紙『El pais』のインタビューで現在の心境について語った。
ーメキシコでキャリアを終えることにしたのは?
「プリメーラ(スペイン1部)での14年間、同じスタジアムで同じ人達に会う。そのルーチンに疲れてしまったんだ。いまは新しい経験を楽しみたい。例えば、エスタディオ・アステカ(クラブ・アメリカのホームスタジアム)でプレーしたりね。目に映る風景を変えるか、スパイクを脱ぐか、そういう時期にきてたんだ」
ーどうやってパチューカに来るよう説得されたんですか?
「このチームにはとても野心的なプロジェクトがある。スペインではもっぱら降格争いに身を置いていたけど、いまは優勝を頭に置きながらプレーすることが出来る」
「それから、昨年からプエブラでプレーするルイス・ガルシア(バルセロナ、リヴァプールなどで活躍した元スペイン代表MF。現在はプーマス所属)とも話して決めた。それに、ここには見たこともないような施設があるんだよ。相手チームを分析するためのシアタールーム、スパ、ジム、そしてチャペルまでね」
ーそして、ウーゴ・サンチェスにも会った。
「あぁ、それも決断する動機になったよ。世界的なストライカーだったウーゴと会って、彼が選手のことをとてもリスペクトしてくれることが分かったし、彼の成し遂げたいことについても聞けた。(サンチェスは)ここでは神のような存在で選手よりもサインをせがまれているんだ」
ー4年前エスパニョールでのキャリアが終わりになった。
「自分自身あそこでキャリアを終えるだろうと考えていたが、そうはならなかった。予想していたような去り方ではなかったけど、過ぎたことを残念に感じてはいない。うまくいけばいつの日か(エスパニョールに)戻り、自分の経験と知識でクラブを手助けすることができるはずさ」
ーロッカールームで多くの責任をもちたいとは?
「いや、とても静かにしているよ。エスパニョールでは長く過ごしたけど、いまはまた別のステージにいる。ここではできるだけ楽しみたいんだ。19歳でプリメーラデビューする時、モイセス・アルテアガ(元エスパニョールMF)に『楽しめ』と言われたことは今でも覚えている。そして、一日一日が過ぎていくなかで、自分のフットボール人生はあと数年だということも分かっている」
ーメキシコはどうですか?
「妻はスペインにいるんだ。3週間後には子供が生まれることになってるからね。だから、とても静かに暮らしているよ。朝起きて練習に行って、帰ってきたらソファーで字幕付きの(キム・)カーダシアンのリアリティ番組を見たりね」
「チームメイトは歓迎してくれたよ。みんなかなり若いから、この年齢の自分がからかわれることはないと思うよ。もうすぐ35歳だからね」
ー引退については考えていますか?
「これ以上はできないと思ったら、プロの世界から足を洗うだろう。でも、いまは2年契約があるし、そのことだけを考えているよ」
ーパチューカではかなり期待されています。
「あぁ、選手としてだけでなくコーチ役としてもね。ただ私自身はプレーすることが待ち遠しいんだ。ここは均衡したリーグだしね。これからは毎年のようにスペイン人選手たちがここにやってくると思う。経済的なことは大事だし、(スペインでの)契約金はかなり下がってるからね」
(筆:Qoly編集部 I)