▼Podcast配信に至った経緯
では、どういった経緯でこのPodcastを始めることになったのだろうか。お話を伺った。
「啓蒙的な理由・目的は殆どないです。子供の時から書き続けてきたユナイテッドのノートがあります。今後の分をネットに公開するのもありかな、と思いました。それによって、Twitterで知り合ったフォロワーさんと、タイムライン以外でコミュニケートするのが面白いかなと。いずれにせよ、『~かな』がきっかけです(笑)」
@ichi301さんはユナイテッドを30年以上追いかけている、日本でも相当コアな部類のファンである。ユナイテッドの存在が日本ではまだまだ馴染みの浅い時代から追いかけており、ユナイテッドに対する想いは人一倍大きいものがあるのだろう。ではなぜ、あらゆるメディアの中から「Podcast」という手段を選んだのだろうか。
「サッカーに関して、ブログという方法は多くの方が発信していて、後発するのは愉快ではなかったです。そこで、試合のライブ放送に合せて、私の声をライブ配信しようとUstreamなども試しました。しかし、回線状況が最善でも、タイムラグが5秒くらい生じてしまいます。これだと、試合を見ながら、私のUstreamも見ている(聞いている)方には親切ではないです。そこで、どこでも好きな時に聞けるPodcastに巡り合ったわけです。聞く人が触れやすいメディア、それがPodcastではないでしょうか」
やはり、ブログ等の文字による発信とは差別化を図りたかったようだ。
@ichi301さんによると、Twitterを契機に構成されたファンコミュニティとのコミュニケーションの意味合いもあったのだという。確かに、実際「マンチェスターユナイテッドに夢中」を聞くとそれがよく分かる。ブログなどの活字メディアの場合、どうしても一方的な主張になりがちで、発信者と受信者の間にはどこか埋めようのない溝らしきものがある。しかし、音声メディアであるPodcastでは、発信者の世界にグイグイ引き込まれていく感覚 がある。あたかも発信者が目の前にいて、耳元で囁いているかのような距離感や身体性。この感覚は、ちょうどラジオ番組のそれに近い。私はこの部分にこそ、サッカーファンにとっての新たな体験性を感じるのだ。
では、番組の原稿を書いたり収録したりする上で、意識していることはあるのだろうか。
「(内容が)難しくなりすぎないことです。多くの人に聞いてもらうために、専門性を高め過ぎないようにしています。聞いてくれる人がいて、初めて意味があると考えていますからね。ですから、ユナイテッドに関して、Podcast以上に深いコミュニケートを求めてくる方とは、個人的なやりとりになっています。発信した瞬間から、(番組は)自分のものではなくなります。聞いてくれる人に、自由に解釈してもらうものですね」
実はこのPodcastのタイトルは、「Keening on United」から「マンチェスターユナイテッドに夢中」へと変更された過去がある。
@ichi301 さんは、その理由を「マンチェスター」や「ユナイテッド」で検索して、より多くの日本人に聞いて欲しいからだと話す。単なる思考の整理や自己満足ではなく、一人でも多くのユナイテッドファンとユナイテッドの今後を共に考えたい。そういう意図を、私は今回のインタビューから強く感じた。