ホドキンさんが初めてシティの試合を見たのは、なんと1932年のこと。当時ホドキンさんは8歳で、現在のエティハド・スタジアムの前身であるメイン・ロードに足しげく通っていた。
そんなホドキンさんはクラブも認める名物サポーターのようで、2シーズン前にはクラブが把握する最高齢のサポーター(当時88歳)として表彰を受けていた。
しかしそんなホドキンさんも今年で90歳。かつてのように毎試合スタジアムで観戦することも難しくなっており、ラジオかテレビで試合を追いかけることが多くなっていた。
そんなホドキンさんに、最愛のクラブが最高のプレゼントを用意する。
なんと、 ホドキンさんの90歳の誕生日を祝い、現地時間9日に行われたFAカップの準々決勝ウィガン戦のロイヤルボックス観戦権をプレゼントしたというのだ。
マンチェスター・シティが初めてリーグタイトルを獲得した1937年当時からチームを応援し、これまで酸いも甘いも経験してきたサポーターのマスコット的存在のホドキンさん。
彼女の声を聞いてみよう。
セリア・ホドキン(90歳のマンチェスター・シティサポーター)
「シティをこれだけ長く見続けてきたなんて、考えてみると驚くべきことね。シティとともに嬉しいことも辛いことも数多く経験してきたわ。個人的には挫折も味わったし、失望させられこともあった。
けれど、シティが上手くいっているのを見るのは素晴らしいわ。彼らをとても誇りに思ってもいるの。
これまではユナイテッドの時代だったけれど、今ではその役割は逆戻りした。
2シーズン前にシティがリーグタイトルを獲得した時には、本当に興奮したものよ。まさか生きているうちにもう一度リーグを制覇を目の当たりにできるなんて、思ってもいなかったわ(笑)
早く明日が来ないかと今から本当にワクワクしているの。待ちきれないわ」
結局試合はシティがまさかの敗北を喫し、2シーズン連続ウィガン相手にFA杯から敗退するという屈辱を味わった。
試合を観戦したホドキンさんもさぞ悔しかったことだろう。
しかし、マンチェスター・シティというある種の新興クラブが見せたこのホスピタリティは賞賛に値する。クラブはこうして忠誠心を獲得するのだ。
マンチェスター・シティがビッグクラブがどうかは分からない。しかし、彼らは間違いなくその歩みの道中にはいるはずだ。
そして現地時間12日、マンチェスター・シティはバルセロナでの一大ミッションに挑む。
日本で多くのサッカーファンがテレビに噛り付いている頃、きっとホドキンさんも我々に負けないほどのパッションでチームにエールを送っているに違いない。