前のチームはどちらかと言えば守備から入るチームでそれが安定したパフォーマンスに繋がったものの、一方でオランダの特長である攻撃マインドを低下させ、“仕掛け”の部分を個のタレント性に頼る部分が大きかった。そうした流れもあってか、オランイェの新たな指揮官に就任したルイス・ファン・ハール監督のもとでは伝統的なスタイルを復活させている。

オランダ代表では2002年の日韓W杯で予選敗退という苦い経験を持つファン・ハール。予選最終節のアイルランド戦、最後はセンターフォワードタイプの選手を前線に4人並べた末に敗れる醜態を晒し、国民の怒りを買った。今回も4-3-3をベースにピッチの幅を広く使った“オランダスタイル”ということに変わりはないが、20歳前後の若手を積極的に起用することでマンネリ化していたチームに活力を取り戻したほか、指揮官の考え方にも10年の時を経た柔軟さが見られる。結果、ルーマニア、ハンガリー、トルコらと同居した予選で好調を維持し、最終的には9勝1分の無敗。3大会連続10回目のW杯出場を果たしている。

前述のように伝統的な戦術を踏襲していることもあり、新たに加わった選手がすんなりフィットすることがこのチームの大きな特徴だろう。彼らの大胆起用がひとまず今予選においては成功した。ただ、次々に出場した若手は一定のパフォーマンスを残しこそすれ一長一短感も否めず、指揮官の信頼を勝ち得たと言える選手は数える程度。特に人材不足なのがセンターバックで、昨年11月の日本戦でも露呈したように今のオランダ代表には守備能力とビルドアップ能力を兼ね備えた選手がいないため、ベストの組み合わせを相変わらず模索中だ。

さらに、アリエン・ロッベン、ロビン・ファン・ペルシーとともに絶対的なレギュラーと指揮官が語っていたMFケヴィン・ストロートマンが先日、左ひざ前十字靱帯断裂と半月板損傷の重傷を負い、本大会欠場が決まってしまった。ブラジルW杯までに中盤の組み合わせも再考しなければならなくなり、ファン・ハール監督にとっては非常に頭が痛い状況となっている。

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