FIFAの機密文書を独自入手したというニューヨーク・タイムズ紙が警鐘を鳴らす。世界的イベント、ワールドカップがはらむ脆弱性とは・・・

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・レフェリーは『買われている』


南アフリカとグアテマラの選手が国家を歌うために集まった時、ミスター・チャイブは主審として2チームの間に立っていた。

彼は、フットボール4U社によって選ばれた2名のアシスタントレフェリーによってサイドを守られていた。フットボール4Uは、国際的八百長シンジケートのフロント企業だった。

“ムハンマド”と名乗る男が、2010年4月29日にヨハネスブルクの連盟事務所を訪れ、手紙を置いていった。そこには、親善試合のためにレフェリーを提供し、財政的に困っている連盟の負担を軽減し、旅費、宿泊施設、食事、そしてマッチメイク料金の支援を申し出る旨が書かれていた。

『我々はあなた方とともに仕事ができることを切望している』

そこには、さらにフットボール4Uの名前と、ミスター・ペルマルのサインがあった。

当時審判長を務めていたスティーヴ・ゴダード氏にとって、それはとても奇妙な申し出だと感じられるものだった。イギリス人である彼は長いキャリアを持っていた。FIFAの規則により、サッカー連盟のみが審判を任命することができるということを、彼は知っていた。フットボール4Uのような外部の会社に、その権限はあるはずもない。

その数日後、“ムハンマド”が再びやってきて、ゴダード氏に3500ドルの賄賂を提供しようとした。ゴダード氏はこの提示を断ったという。

しかしながら、他の南アフリカの幹部たちは、フットボール4Uとの取り引きを進めていった。南アフリカの5回の親善試合のうち、少なくとも2回、フットボール4Uによってレフェリーが任命された。

一つの契約については、アンドニー・サンティア・ラジと書かれており、それはFIFAによってシンガポールのシンジケートの仲間であると確認されている。また別の一つについては、レズリー・セディベ氏、南アフリカサッカー連盟のCEOによって調印されていた。

インタビューでは、レズリー・セディベ氏は『誰かがその意図について嘘をついた』と言っている。アンドニー・サンティア・ラジ氏には連絡が取れなかった。

調査官は、南アフリカサッカー連盟が“ムハンマド”、そしてフットボール4Uの素性を調査していないことを突き止めた。

その会社は、すでに悪名高いものだった――8ヶ月前に中国で八百長を行おうと試みていた。FIFAの報告書によれば、“ムハンマド”は、シンガポールの八百長シンジケートの一員であるジェイソン・ジョー・ルーデスであると判明した。彼にも連絡を取ろうとしたが、不可能だった。