いよいよ開幕まであと10日に迫った2014年度ワールドカップ。誰もが知っている通り、世界最大級のスポーツイベント。多くの人々がその試合、その結果に注目することになる。
厳しい予選を勝ち抜き、様々な地域から集まった32カ国が、ひとつのルールのもとで、ひとつのボールを蹴り合う。それを見ている世界中のファンも、同じ場面を見て一喜一憂する。
スポーツは人種や文化を超えたフェアな戦いである――しかし、そんな前提を、カネと暴力という力で崩そうとする者たちもまた、この輝かしい舞台の影で暗躍している。
2010年に南アフリカで行われた前回大会。その開幕を前にした親善試合で、驚くべきほどの大胆な手口で、八百長は行われていた。
独自にFIFAの機密文書を入手したというニューヨーク・タイムズ紙は、関係者のインタビューを交えながら、ワールドカップにおける脆弱性に警笛を鳴らした。
イブラヒム・チャイブという名のサッカー審判員は、100ドル紙幣の札束10万ドルが入ったバッグを持って、南アフリカの小さな町にある銀行に入っていった。預金は非常に多額であったので、銀行の従業員は彼にネルソン・マンデラが書かれた記念硬貨を贈った。
2010年5月。その夜遅く、チャイブ氏は、世界で最も有名なスポーツイベントを前にした準備試合、南アフリカとグアテマラのゲームを裁いた。
一般のファンにすら、彼のジャッジは疑わしいと思えるものだった。彼は2つのペナルティキックを宣告した。選手が避けようのないものだったが、2つのハンドと判定した。
ミスター・チャイブはニジェール生まれ。シンガポールに拠点を置く会社によって、試合の結果を左右させるために選ばれた審判だった。その会社は悪名高い八百長シンジケートのフロント企業であった、とFIFAの報告書には書かれている。
FIFAの調査報告書、及び関係書類は、ワールドカップにおいての八百長に対する脆弱性という重大な問題を持ち出している。これはニューヨーク・タイムズによって得られたもので、公には公表されていない。
大会は、来月12日、ブラジルで開催される。