FIFAの機密文書を独自入手したというニューヨーク・タイムズ紙が警鐘を鳴らす。世界的イベント、ワールドカップがはらむ脆弱性とは・・・
・「我々は君を排除できる」
ワールドカップの前、南アフリカはもう一つの親善試合を予定していた。6月5日、デンマークとの試合だ。
チームへの期待は急上昇していた。しかし、南アフリカサッカー連盟の何人かの審判は、レフェリングについて関心を持っていた。
デンマークとの試合の後、数人の南アフリカ連盟職員が、派遣されてきた審判に厳しい講義を行った。彼らはタンザニア人で、フットボール4Uによって任命された。
『不適当なものは何一つ許されることはない』――そう伝えられた。
職員の一人エース・キカ氏は、『フットボール4Uに利用されている男が、ハーフタイムにずっとレフェリーの控室に入ろうとしていた』とFIFAの調査官に話した。
デンマーク戦の日の午前、予定されていた主審は胃痛のために辞退した。代用の審判が必要になった――速やかに。
グアテマラ戦を見て、ゴダード氏はすでに一人のレフェリーを待機させていた。審判が出身地の代表チームの試合を裁くことは珍しい。しかし、ゴダード氏は南アフリカで評価の高い審判であるマシュー・ダイアー氏を説得したのだ。
しかし、ゴダード氏がスタジアムに着いた時――そこには、彼がとても良く知っている男がいた。ミスター・チャイブである。
チームが試合の準備を始めるとともに、マシュー・ダイアー氏はレフェリーのウォームアップ・ルームに消えた。一方、ミスター・チャイブはマッサージを受け、ウォームアップを終わらせた。
しかし、彼がやったのはここまでだった。
ミスター・チャイブは両チームを率いるため、トンネルの中で待っていた。そしてゴダード氏は、ミスター・チャイブの肩に手を置き、こう伝えたという。
『私は試合から君を排除した。私と一緒にグランドスタンドへ行くんだ』
ある南アフリカ連盟の職員は、『ゴダード氏がドレッシングルームにミスター・チャイブを閉じ込め、マシュー・ダイアー主審をピッチに送った』と話している。
そして、南アフリカは1-0で勝った。