メスト・エジルの恐るべき能力。

ドイツ代表で活躍する天才的なプレイヤーとして知られ、レアル・マドリードではクリスティアーノ・ロナウドとのコンビで恐れられたメスト・エジル。彼は、相手の守備陣に綻びを発見する能力に長けている。メッシやロナウド、アザールのような圧倒的な爆発力はないものの、彼は相手にとって最も嫌なタイミングで守備陣を崩壊させることが少なくない。2点目の起点となったプレーが印象的だ。

まずは前からのプレッシングを狙った中盤の底、サイドバック、センターバックのちょうど真ん中でボールを受ける。このポジションであれば、相手からのプレッシャーを受けるまでに余裕が出来る。ここでボールを受けると、そのまま左サイドへ。

中央へのカバーの必要性を感じて、絞る相手DFの動きを先読みすることによって、余裕を持ってボールを受ける。

そこから、またもDFラインを背走させるようなセンタリング。アストン・ヴィラの守備陣が「視野を頻繁に取り直さなければならない」攻撃に弱いと解っているからこそ、そういった場面を作り出すことによって彼等の守備を翻弄してしまったのだ。次世代のファンタジスタの呼び名に相応しい、「相手の戦術、陣形を把握する能力」と「豊富なアイディア」を兼ね備えた天才の存在は、今後もアーセナルで違いを生み続けるはずだ。(下はヴィラ戦のエジルのプレー集)

このような前からのプレッシングへの対策を見せたことは、ノースロンドンダービーでトッテナムが「慎重策」を選んだことに繋がっている。次回は、今回取り上げたアストン・ヴィラ戦のアーセナルをスカウティングしたトッテナムが「どのようにアーセナルを封じ込めようとしたのか」という部分に着目して考察していくことにしよう。本来積極的に前からのプレッシングで相手を押し潰すようなスタイルを得意とするポチェッティーノの変化球が、ノースロンドンダービーを高度な探り合いへと変えたのだから。


筆者名:結城 康平

プロフィール:「フットボールの試合を色んな角度から切り取って、様々な形にして組み合わせながら1つの作品にしていくことを目指す。形にこだわらず、わかりやすく、最後まで読んでもらえるような、見てない試合を是非再放送で見たいって思っていただけるような文章が書けるように日々研鑽中」
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