先日スカパー!は、日本代表の過去の名試合を厳選した「日本代表スペシャルアーカイブ ~ワールドチャンピオン編~」を、今月から隔週おきに放送することを発表した。
いよいよ本日10月19日22時よりその第一弾として、1995年8月9日に行われた「日本ブラジル修好100周年記念 サン・スパークカップ 日本代表×ブラジル代表」の試合が放送される。
1993年に「ドーハの悲劇」を経験しW杯初出場を逃した日本代表は、前年12月に加茂周を監督を招聘。この試合は翌年に開催されるアジアカップと2年後に行われるW杯予選に向け、チーム作りの最中に行われた親善試合である。一方、前年のW杯を制したブラジル代表は、この試合の僅か2週間前まで行われていたコパ・アメリカで準優勝。来日メンバーにロナウド、ロマーリオ、ロベルト・カルロス、タファレルらは含まれなかったが、コパ・アメリカで活躍したジュニーニョ・パウリスタら期待の若手とJリーグ組の興味深い混成チームであった。
それではこの試合に出場したブラジル代表のメンバーを紹介していこう。 Qolyでは今後、放送の前に可能な限り(笑)対戦相手のメンバーを紹介していく予定で、少しでも観戦にお役に立てれば幸いである。
なお、今後の放送スケジュールに関してはBSスカパー!の公式サイトをご確認いただきたい。
GK ジルマール(Gilmar / セレッソ大阪 - JPN)
1994年アメリカW杯の優勝メンバー。1960年代に活躍したブラジルの伝説的GKに因んで名前を付けられたが、その名前に恥じることなくブラジル代表に名を連ねるGKへと成長、1995年から引退まではセレッソ大阪に在籍した。引退後は代理人を務めており、古巣セレッソやガンバ大阪などに数多くの南米選手を送り込んでいる。現地の発音は「ジウマール」。代表通算9試合0得点。
DF ジョルジーニョ(Jorginho / 鹿島アントラーズ - JPN)
1994年アメリカW杯優勝に大きく貢献し、「世界最高の右サイドバック」と呼ばれた男。インサイドとアウトサイドを使い分けた正確なサイドチェンジ、間違いのない状況判断に加え、アスリートとしての能力も高く攻守両面で絶大な存在感を放った。この年、バイエルンから鹿島アントラーズへ加入し1998年まで在籍、多くの日本人選手にサイドバックのお手本となるプレーを見せた。近年は指導者として活躍、2012年には監督として鹿島に凱旋を果たしている。なお、この試合が代表最後の試合となった。代表通算64試合3得点。
DF アンドレ・クルス(André Cruz / ナポリ - ITA)
過去にACミランなどでプレー。ブラジル代表には数少ない頭脳で戦うタイプのセンターバックで、足元の技術も高かった。FKも武器。代表通算31試合1得点。
DF ロナウダン(Ronaldão / 清水エスパルス - JPN)
出場はなかったが彼も1994年アメリカW杯の優勝メンバー。強靭な肉体を持つセンターバックで、1994-95年には清水エスパルスでプレーしている。本名は「ロナウド」だが、当時の代表には既に“フェノーメノ”ことロナウドが同じ登録名を使用していたため、代表では「大きなロナウド」を意味する「ロナウダン(ロナウドン)」呼ばれていた。ちなみに「ロナウジーニョ」は「小さなロナウド」を意味する。代表通算14試合2得点。
DF ナルシーゾ(Narciso / サントス)
1995年コパ・アメリカ、1996年アトランタ五輪に出場したセンターバック。生涯国内でプレーした。代表通算19試合1得点。
DF ロドリゴ(Rodrigo / バイアー・レヴァークーゼン - GER)
ドイツの強豪バイアー・レヴァークーゼンなどで活躍した小柄な右サイドバック。同年に行われたコパ・アメリカの準優勝メンバーだが出場機会はなく、この試合でA代表デビューを果たした。代表通算3試合0得点。
DF ブルーノ・カルバーリョ(Bruno Carvalho / ヴァスコ)
1992年ワールドユースで優勝メンバー。本職は左サイドバックで、この試合が2キャップ目だった。代表通算4試合0得点。
MF ドゥンガ(Dunga / ジュビロ磐田 - JPN)
ご存知、現セレソンの監督を務める“闘将”。フィジカルと確かな技術、危機察知能力の高さを生かし、3度のW杯を経験した。優勝した1994年は大会途中より主将を任され、マウロ・シウヴァとの守備的な“ドイスボランチ”を形成。「ボランチ」という言葉はこれ以降、守備的なイメージと共に日本でも定着していった。95年から4年間はジュビロ磐田でプレー。「鬼軍曹」と表現されたその強烈なキャプテンシーで勝者のメンタリティーをチームに植え付け、黄金時代の礎を築いた。代表通算91試合7得点。
MF セザール・サンパイオ(César Sampaio / 横浜フリューゲルス - JPN)
1998年フランスW杯のメンバーで、Jリーグ黎明期に“現役セレソン”として横浜フリューゲルスで活躍。ハードマークを得意とする古典的なボランチだが一方で巧みなポジショニングと正確な技術でチーム全体に安定感を与え、攻撃に与える影響も少なくなかった。特にセットプレーからのヘディングは武器で、得点力も高かったが意外にもこの試合での得点が代表初ゴールである。晩年には柏レイソル、サンフレッチェ広島でプレー。広島に在籍していた2004年には「SAMPAIO 勝者の証」という自伝本を日本語で出版している。「セザール」と表記されることが多いが、アクセント記号の通り「セーザル」である。代表通算49試合6得点。
MF レオナルド(Leonardo - 鹿島アントラーズ - JPN)
端正なルックスと華麗なテクニックを駆使するその姿から、“貴公子”と呼ばれた左利きの攻撃的MF。1994年アメリカW杯では左サイドバックとして優勝に貢献した。1994-96年には鹿島アントラーズに在籍、1995年11月の横浜フリューゲルス戦で決めた“伝説”のゴールは、Jリーグ創設20周年を記念して2013年に実施されたJリーグの歴代ベストゴール投票で見事1位に輝いている。代表通算60試合8得点。
MF ジーニョ(Zinho / 横浜フリューゲルス - JPN)
1994年アメリカW杯で全試合に出場し、優勝に大きく貢献した左利きの攻撃的MF。クラブでは主にフラメンゴ、パルメイラスで活躍し、コパ・リベルタドーレス、全国選手権、リオ州選手権などを筆頭に数々のタイトルを獲得。横浜フリューゲルスではセザール・サンパイオ、エバイールと共に活躍し、クラブは優勝争いするまでに成長した。代表通算57試合7得点。
MF ジュニーニョ・パウリスタ(Juninho Paulista / サンパウロ)
ジュニーニョといえば2000年代はジュニーニョ・ペルナンブカーノのほうが有名になってしまったが、90年代のジュニーニョといえばこのジュニーニョ・パウリスタだ。160cm台半ばに50kg台の体重と世界的に見て小さく軽い選手であるためフィジカルやパワーこそないが、100m10秒台のスピード、フットサル仕込みの足技を生かした高速ドリブル、ファンタジー溢れる技術、豊富な運動量を誇る攻撃的MFで、それまでの“地蔵の様に動かないクラシカルな10番”から“現代流のフィジカル、テクニックを併せ持った10番像”の過渡期に生まれた新10番であった。同年は代表デビューにコパ・アメリカでのMVP、ブラジル年間最優秀選手に輝くなど飛躍の年に。なお、パウリスタとは「サンパウロ(出身)の人」の意である。代表通算55試合5得点。
FW ジオヴァンニ(Giovanni / サントス)
怪物ロナウドとフットサルを共にしていた親友。190cmを超す大柄な選手だがテクニックはずば抜けており、バルセロナでもロナウドとのホットラインで活躍した。代表では大成できなかったが、ギリシャを筆頭にクラブレベルでは息の長い活躍を見せ、2010年まで現役でプレーしている。代表通算20試合6得点。
FW エジムンド(Edmundo / パウメイラス)
フィオレンティーナ時代の“リオのカーニバル騒動”から自動車による死亡事故など、問題行動を挙げれば枚挙に暇がない“悪童”。それゆえ「野獣(アニマウ)」の愛称を持ち、特に同年代・同ポジションのロマーリオとは“犬猿の仲”として知られた。1997年の全国選手権で得点王に輝いたFWだが小柄で非常にテクニックが高く、1.5-2列目のゲームメイカーとしても機能。それゆえフィジカル面で衰えながらも40歳近くまで現役でプレーしている。2001-2003年まで東京ヴェルディ、浦和レッズに在籍。代表通算39試合10得点。
FW サヴィオ(Sávio / フラメンゴ)
左利きの快速アタッカー。MF/FWだが左サイドでプレーを得意とし、レアル・マドリードでは同胞ロベルト・カルロスとのコンビで活躍した。銅メダルを獲得した1996年アトランタ五輪では“マイアミの奇跡”と呼ばれた日本戦にも先発で出場している。キャリア中盤以降はたびたび怪我に悩まされ、満足に出場できないまま2010年に現役を引退。代表通算21試合4得点。
監督 マリオ・ザガーロ(Mario Zagallo)
選手時代に2度、監督・コーチとして2度のW杯優勝経験を持つ、ブラジルサッカー界の重鎮。1994年W杯優勝をアシスタントコーチとして支え、大会後に監督へ復帰した。1998年W杯ではジーコらを配下に置き連覇を目指したが、決勝でフランスに敗れ準優勝に終わっている。
なお、日本代表は以下のメンバーとなっている。
GK 小島 伸幸(ベルマーレ平塚)
DF 柳本 啓成(サンフレッチェ広島)
DF 井原 正巳(横浜マリノス)
DF 柱谷 哲二(ヴェルディ川崎)
DF 相馬 直樹(鹿島アントラーズ)
MF 林 健太郎(ヴェルディ川崎)
MF 山口 素弘(横浜フリューゲルス)
MF ラモス 瑠偉(ヴェルディ川崎)
MF 森島 寛晃(セレッソ大阪)
FW 三浦 知良(ヴェルディ川崎)
FW 福田 正博(浦和レッドダイヤモンズ)
MF 北澤 豪(ヴェルディ川崎)
FW 黒崎 比差支(鹿島アントラーズ)
GK 下川 健一(ジェフユナイテッド市原)
DF 小村 徳男(横浜マリノス)
FW 野口 幸司(ベルマーレ平塚)
MF 田坂 和昭(ベルマーレ平塚)
MF 藤田 俊哉(ジュビロ磐田)
DF 名良橋 晃(ベルマーレ平塚)
MF 名波 浩(ジュビロ磐田)
監督 加茂 周
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