スペイン北東部のカタルーニャ州に、今世界から目が向けられている。かねてより動向が注目されていた独立問題が進展を見せ、度々ニュースとして伝えられているのである。

カタルーニャ州はバルセロナ州都とするスペインの自治体である。北方にはピレネー山脈が走っており、フランスやアンドラといった国家と接していながら、東部には地中海を臨む。およそ750万人の人口はスペイン第2位の数字であり、2008年の域内総生産(GDP)2169億ユーロはスペイン全体の20%を占めるなど、全自治州の中でトップの数字を記録した。そう、カタルーニャ州は人口構成的にも経済的にもスペインの中心となる区画なのだ。

そんなカタルーニャ州といえば、独立意識が強いことで知られている。もともとスペインという国は民族意識がはっきりしとしているため、スペイン国歌にも歌詞を付さなかったとされている。その歴史的背景と行政的な問題からカタルーニャの住民たちは独立に対して特に熱心であり、自身をスペイン人ではないと認識している人も少なくない。

そしてこの11月、カタルーニャ州では一つのビッグイベントが予定されていた。州の独立の是非を住民に問う住民投票である。この投票の実施は2012年に決定され、翌年の「カタルーニャの日」と制定される9月11日には100万人が参加する大規模なデモが行われるなどその機運は高いままだ。

しかし先日、この動向に関する新たな進展があった。スペイン中央政府のサンタマリア副首相が、カタルーニャ州の独立を問う住民投票を阻止する構えを見せたのだ。

『AFP』によれば、スペイン政府は今回の件に対して法的措置に出るようで最高諮問機関に意見を求めるという。これにより州側は代替となる「民意調査」を行う見通しであるが、いずれにしても今回の政府の対応によりカタルーニャ州の独立は一旦見送られることになる。

しかし、これでカタルーニャ州住民の機運が下がるはずがない。また新たな策に講じ、高度な自治を目指して次なる手に出るはずだ。実はこのカタルーニャ州の独立問題に関しては、日本のサッカーファンにも関心ある2つの存在が大きく関係していることをご存知であろうか?今回は、この社会的問題に大きく関係する事象についてご紹介することにしたい。

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