「スタンフォード・ブリッジでの死闘」―。数年後に、そのように描写されてもおかしくないほどの激しい試合が、誇り高きチャンピオンズ・リーグの歴史を彩る新たな1ページとなった。

前日には若手を積極的に起用したシャルケが、王者レアル・マドリードを土俵際まで追い詰めるような打撃戦を演じたように、チャンピオンズ・リーグは常に新鮮な驚きを観戦するフットボールファンに提供する。パリ・サンジェルマンとチェルシー。ホームのユニフォームは互いに青を基調とし、大型投資を経て瞬く間に強豪へと上り詰めたという点で言えば少し似た印象も受ける2つの強豪が、ベスト8で火花を散らしながらぶつかり合った。

今回は、早い段階で10人になってしまったPSGが2点を奪った「コーナーキック」、試合の行方を左右することになったセットプレーに注目しつつ、チェルシーの守備における問題点を考察していきたい。

フットボール分析の専門家で、ESPNやガーディアン紙などに寄稿するマイケル・コックス氏が「セットプレーが鍵になる」と試合前にTweetした通り、ハイレベルな試合を決定する要因となったのはコーナーキックだった。

空中戦を得意とする選手が揃ったPSGにとって、イブラヒモビッチの退場によって生じた数的不利を覆す面では、コーナーキックは芥川龍之介氏の小説「蜘蛛の糸」における蜘蛛の糸のような細い希望だった。

ハイライト動画もチェックした上で読んでいただけると、より解りやすいかもしれない。

既に“問題"が表れていた1失点目。