スライドによる守備の乱れをなんとか修正しようと、ファーサイドにクルトワが出ていく意識を見せた事も、状況を悪化させた。

ファーサイドへのシンプルなボールではなく、少し距離があるチアゴ・シウバへのボールだったことから、バックステップをしなければならない状況に。それによって生じたポジションの狂いは、微妙なものではあったものの失点に繋がる結果になってしまった。

数秒前には素晴らしいセーブでコーナーを防いでいただけに、後悔の残る結果となってしまったのは間違いない。

勿論、マンツーマンで守る意識は守備をシンプルにすることが出来る上で重要だ。しかし、過剰なマンツーマンへの意識は、守備全体のバランスを崩すことになる。

今回は、チェルシーの守備において「絶対にゾーンで防いでおきたい部分」を、マンツーマンの意識が強すぎるせいで空けてしまうこととなった。1失点目はそのゾーンから、ダビド・ルイスにリベンジの気持ちを込めたパワフルな一撃を沈められ、2失点目はそのゾーンへの意識を逆手に取られ、チアゴ・シウバに自らのミスを帳消しにするテクニカルな一撃を沈められることとなってしまった。

空中戦要員として投入したズマの投入後に、細かなバランスが崩れてしまったことは皮肉ではあるが、「ポジションや守備における細かな指示」が不足した結果だったとも言えるのかもしれない。ある意味で、「完璧主義者」ジョゼ・モウリーニョらしからぬ悪手を容赦なく咎めたPSGは、見事なパフォーマンスを披露した。

実際にこの細かなミスを咎めるには、相応の力が必要だった。疑惑の判定によって10人となっても、2度チェルシーに得点されても集中力を切らさず、敵地で数少ない好機を沈めた彼らは、賞賛に相応しいパフォーマンスを見せたと言っていいだろう。

2009年以来、久々に「スペシャル・ワン」がセミ・ファイナルを前にしてCLを去って行った今、ドラマチックに死闘を勝ち抜いたPSGの物語は続くのだろうか。スウェーデンの「帝王」ズラタン・イブラヒモビッチの戴冠を見てみたいサポーターも、きっと世界中に溢れているはずだ。

ここからのCLにも、目が離せない。

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