日々ロック

ザンクト・パウリのスタジアムはドイツ一の歓楽街にあり、異様な雰囲気を醸し出している。日本で言えば、渋谷のセンター街や新宿の歌舞伎町にスタジアムがあるようなものである。

元々のファン層はいわゆる下層階級であり、同じ町のライバルであるハンブルガーSVが上流階級中心なのとは対照的である。

ザンクト・パウリのサポーターは左寄りで知られている。人種差別やファシズム、性差別を嫌い同性愛を許容する。抗議のために座り込みのデモ活動を行ったこともある。

チームはロック音楽の精神を常に受け継いでいる。パンクを基調にハードロック的な要素もあるし、革新的なチームスタイルはプログレッシブとも言える。クラブハウスやスタジアムは落書きだらけ、骸骨(スカル)をモチーフにしたフラッグがスタジアムに掲げられる姿は他に類を見ない。

コーナーフラッグもスカルだ。

入場曲は「AC/DC」、ゴール後にかかる音楽は「ブラー」であり、ザンクト・パウリをフューチャーした楽曲を作成するロックミュージシャンは少なくない。


ゴール後に合唱するサポーター。熱いパッションを感じる。

サッカーと言うよりはサブカルチャー的な何か…その精神は今やドイツ中で受けサポーターの数は1000万人を超えると言われている。ドイツ一の女性サポーター数を誇り、2部クラブでありながらブンデスリーガの多くのチームよりも人気を集めているのだ。

【次ページ】関連グッズが熱い