― ビーチサッカーに復帰した後、2011年からスイスへ行きました。
スイスにプロリーグがあると聞いていたので、自分がより成長するために行きたいと思ってトライアウトを受けに行きました。ただ、レベルは確かに高かったんですが、自分のようなプレーヤーがいないことに逆に驚きもしましたね。最初から思った以上にやれました。
― スイスからさらにイタリアのインテルBSへ。イタリアのほうがレベルは高かったですか?
リーグ自体はイタリアのほうが高かったです。そして、外国人枠なので、結果を出さないといけない。とにかくゴールを求められるという環境の中で成長した部分は大きいです。
リーグ戦の外国人枠は3人なのですが、ビーチサッカーは大会によって外国人枠がフリーの場合もあって、そのときは大会契約や1試合契約といった形で様々な国の選手がチームにいました。日本だとあまり考えられないんですが選手たちもその辺は割り切っていて、たとえばブラジルの大会なら今回はヴァスコ・ダ・ガマで出て次はフラメンゴと、選手がぐるぐる入れ替わります。個人的にはそれぐらいのほうが環境としてやりやすいです。
― それでは日本代表の話にいきましょう。日本はここ10年、アジアでトップクラスの力を保持していますが、他の国との力関係で変化は感じますか?
周りの国のレベルが年々上がってきているのを実感しますね。以前ほど力の差がなくて、『今回は本当に予選を突破できないかも』というところまで来ています。日本も昨年4月にブラジル人のマルセロ・メンデス監督が就任して以降、彼はビーチサッカー専門の監督で色々なところに顔が利くので遠征や合宿の量が大幅に増えました。やはり大会に出て強い相手と対戦するというのが一番成長につながります。今年3月に行われたワールドカップ・アジア予選も厳しい試合が多く、決勝トーナメントに入ってからは特に若い選手がプレッシャーに苦しんでいたように感じましたが、逆を言えば良い経験になったと思います。
― 若いといえば、2010年に地元の川崎にサッカースクールを開校して、2014年にはビーチサッカーのスクールも始められたそうですね。
ビーチサッカーは、絶対に日本に取り入れたい文化だと思っています。と言うのも、海外へ行くと多くの国で小さい子どもにビーチサッカー(=ビーチでサッカー)をやらせているんです。そこからサッカーやフットサルへ転向していくという、言うなれば日本と逆の流れが特に南米などではありました。自分でプレーしていても『どこが鍛えられるか』というのがよく分かるので、吸収力のある子どもの時期にやらせたら、間違いなく良い選手が生まれるなと。それで日本へ戻ってきた後にビーチサッカーのスクールも立ち上げました。
ビーチサッカーの場合、ボール感覚なども上手くなるのですが、それ以上に足場が悪いので身体のバランス感覚や足腰が鍛えられます。砂を裸足で掴むので足が速くなりますし、倒れても痛くないのでアクロバティックなプレーも身に付きやすいなど、本当にサッカーに必要な色んな要素が詰まっています。そして何より、楽しいというのが一番ですね。僕のスクールでも普通のサッカーよりビーチサッカーのほうが楽しくやっているのが伝わってきます。裸足で砂遊びをしている感覚ですよね。そうやって楽しくプレーしながら、自然とサッカーも上手くなっている。それが素晴らしいと思います。